1999年 |
未知なる心 The Undiscovered Mind |
ジョン・ホーガン John Horgan |
プロローグ
科学は予想外の順序で発達した。人間から最もかけ離れたモノが最初に法則によって捉えられ、それから徐々に我々に近いものへと進んできた。すなわち、最初に天空、次に地球、それから動植物、更に人間の体、そして最後に人間の心という具合に。(バートランド・ラッセル)
脳にはつまるところ、自分で自分を説明する能力はないだろう。(ギュンター・スタント)
科学はピークを過ぎたという主張は、暗黙のうちに心に関連した分野を軽んじ、物理学や宇宙論を賛美するような科学の定義に基づいていたようだ。
ワインバーグとマレイ・ゲルマンは、「科学的事実は、空間と時間を通じてどれくらい広く当てはまるかによってランク付けできる。」としている。
そのランクによれば、次のようになる。
1)量子論や相対性理論など全宇宙を通じて正しい科学。
2)ダーウィンの進化論やDNAによる遺伝学などの地球上の全有機体にあてはまる科学。
3)心理学や精神医学など地球上のわずか1有機体にしか使えない、しかもほんの数十万年まえには存在すらしてなかったものにしかあてはまらない科学。
しかしこのランク付けは全宇宙を通じて正しいのだろうか?
宇宙の神秘を解き明かしたのは我々の精神によるもの。
心に関する科学は単に意味があるだけではない。真に意味があるといえないだろうか?
シャーウィン・ヌランド「私は大宇宙よりも小宇宙の方にもっと関心がある。どのように星が死ぬのかよりも一人の男がいかに生きるかに、どのように彗星が天空をきらめいて横切るかよりも、一人の女性がいかに世の中を渡って行くかに、もっと興味がある。私を魅惑の境地に誘い込むのは人間の神秘。宇宙の有様ではない。」
ソフィー>心にだけは、科学のメスを入れて欲しくない。唯一残された神秘の宝をズタズタに切り刻まないで!。
第1章:神経科学の説明できない溝
第2章:フロイトが死なない理由
第3章:精神療法とどーどー鳥の仮説
第4章:プロザックとプラシーボたち
第5章:びっくり遺伝子科学
第6章:ダーウィン、救出に出動!
第7章:人工知能は非常識な奴
第8章:意識の謎
エピローグ:心の科学の未来
信ずることの危険性
科学者は心が退治できない怪物だなどと考えていない。
科学によって正確にどのようにして自然淘汰が心を形作って未だに影響を及ぼして続けているのかを解明するかもしれない。
しかし、たゆまざる努力と資金が報われるとはかぎらない。
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