1995年 

科学が嫌われる理由

The Trouble with Science

ロビン・ダンパー

 

プラトテレス>科学はますます嫌われつつあると思わないかい?

ソフィー>そんなことないと思うわ。何故嫌われるの?

プラトテレス>冷たい感じしないかい?

ソフィー>少しする。

プラトテレス>言葉が回りくどくて面倒臭くないかい?

ソフィー>面倒だけど、でも聞きたくもない屁理屈とは違うわ。

プラトテレス>自分が発見したもの以外この世に存在しないように、対立する理論への執拗な攻撃は傲慢な態度で、目をそらしたくならないかい?

ソフィー>それはあるわね。

プラトテレス>では逆に明らかに確かな知とは言えないのに熱狂的に信仰される神秘主義などにはどんな理由があるか、考えてみよう。

科学の停滞はファンダメンタルの復活をもたらすと言う。

実際、宗教などの原理主義(ファンダメンタル)の復活と確かな知などないという絶望的な哲学(ポストモダン)が登場してきている世界的な潮流を見ていると啓蒙以前の世界に後退する恐れさえもっている。

このことは心理学的に理解できるもがある。つまり、あらゆる神秘主義は閉鎖的な社会からの精神的はけ口となっているのである。

ソフィー>たしかに、情緒的な部分を補完するには科学では冷静すぎるようにみえるわね。

プラトテレス>そもそも科学のリードによって行き着く先は、ありのままの世界であって、世界はこうあってほしいという願望ではないんだ。その応用技術で我々の生活レベルをあげることはできるかもしれないが、真に心を満たしてくれるものとも限らない。

ソフィー>科学はその程度の物に過ぎないのかしら?我々の情緒を補完するには知的で冷たすぎるかしら?

しばらくしてソフィーは自分のチャット自分で否定のチャットを付け加えた。

ソフィー>違う、違うわ!私は科学を学習したら、全てのものに優しくなれた気がするわ。

科学には確かに過去にいくつかの過ちがある。科学が我々の不安を増大させる。

環境面での破壊や核爆弾、優生学などがいい例だろう。たしかに科学には古い権威を焼き払う力がある。しかし、科学の原理そのものに欠陥があるという認識は言い過ぎではないだろう。

  

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67「科学がきらわれる理由」ロビン・ダンバー The Trouble with Sience Robin Dunbar 1995 年 (訳: 松浦俊輔 1997 年) 青土社 科学がきらわれる理由

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