アポトーシス

 

胎児は母親のお腹の中では、かえるのように指と指の間に水かきが付いている。

その後、この水かきはなくなり人の手の形になるが、どんな仕掛けになっているのだろうか?

1:指が伸びてくるために水かきの面積が小さく見える。

2:水かきの細胞が指に吸収されてなくなる。

そのどちらもNOだ。ヒレの細胞は自ら死滅してしまうのだ。つまり細胞単位の自殺である。

おたまじゃくしのしっぽを思い描いてもらうとすぐに想像がつくだろう。

これは「自殺細胞」(アポトーシス)として、生物の自然現象として、捉えられている。 生命が全体として生きていく上で、このプログラムされた死は、非常に積極的な意味をもつ。

私が面白いと思うのは、ある時期が来ると細胞が自ら自殺してしまうというのに、おたまじゃくしの時期には尻尾を傷つけても、自然治癒力が働いて、しっかりもとの尻尾に戻ってしまうという点です。

さて、この性質を医学に今役立てようとする動きがある。

例えば、ガン細胞を力ずくで殺してしまおうとする現在の医療はなかなかうまく行ってないが、ガン細胞にP53遺伝子を直接打ち込んで自殺に追い込もうというのだ。

しかし、今のところ局部的な治療にしか行えないという。そして、「癌告知」の問題をクリアしなければならない。

 

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