サイコシンセシス

ロベルト・アサジョーリ

http://www.nct9.ne.jp/mandala/shiso2000/shiso2000-10.htmlより

マスローの人間性心理学と同じ流れにあるものとして、イタリアの精神医学・心理学者ロベルト・アサジョーリが作り出したサイコシンセシスという新しい心理学について紹介しておこう。

ユングでは、無意識はすべて一括して扱われていたが、アサジョーリは、上位・中位・下位無意識を明確に区別する。そして、上位無意識に「トランスパーソナル・セルフ」、つまり私たちの中の「高次の自己」があると考えられる。サイコシンセシスの究極目的は、このトランスパーソナル・セルフとつながることである。そうすると、万物のつながり、圧倒的な愛の存在などが感じられ、他者への深い共感も生まれてくるという。そのためには、私たちはパーソナル・セルフ(通常の自我)への同一化を一時停止する必要がある。アサジョーリは、こうした心的発達のために、イメージ技法を中心としてさまざまな方法を考え出している。こうしてパーソナル・セルフとは別の、「純粋自己」とでもいうべき自覚が生じる。これが心的発達のためのひじょうに重要なステップなのである。

アサジョーリが見出したトランスパーソナル・セルフの心的経験は、古来から宗教体験・神秘体験として知られてきたものを脱宗教的な文脈で捉え直したものといえる。また、ユングでは曖昧なままにとまっていた上位・下位の無意識を明確に区別したことには特に注目される。無意識の中には、心の成長につながるポジティブなものと、危険でダークなものとの双方が含まれているという洞察がそこにある。

 

 

 


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