1956年 |
センス・オブ・ワンダー |
レイチェル・カーソン |
なんと神々しい朝でしょう。窓の外には水平線がひろがり、登る陽の光が部屋に差し来んで。
どうして、私たちの多くは大人になる為に、澄み切った洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力を鈍らせ、あるときはまったく失ってしまうのでしょう。
わたしは生涯こうした「センス・オブ・ワンダー=不思議さに目を見張る感性」を消さないようにしたいのです。
この感性はきっといつか大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になる事などに対する、かわらぬ解毒剤になると思うからです。
こうしたことを思う時、ようやく人間サイズの尺度の枠から解き放たれていく感覚がやってきます。
人間サイズを超えた存在を意識し、自然界を探検することは、どんな意義があるのだろうかと、素直な気持ちで自分に問いかけてみてください。
私はその中に、永続的で意義深いなにかがあると信じています。地球の美しい神秘を感じ取れる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることは決してないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通じる小道をみつけだすことができると信じます。
繰り返すようですが、自然にふれるという終わりのない喜びは科学者だけのものではなく分析するものではありません。大地と海と空、そして、そこに住む驚きに満ちた生命の輝きのもとに身をおくすべての人が手に入れられるものなのです。
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「センス・オブ・ワンダー」 レイチェル・カーソン The Sence of Wonder Rachel L.Carson 1956 年 (訳: 上遠恵子 1996 年) 新潮社