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=学校システム論(‘02)=(TV)

− 子ども・学校・社会−

〔主任講師: 竹内 洋(関西大学教授)〕

全体のねらい

「学校」という言葉も実態も、いまのわれわれにとって自明すぎることである。しか

し、学校は人類の文明のある段階で

発明された人工装置である。人類が発明した学校という人間形成の装置が、社会の変

化のなかでどのように変貌してきたの

か。そして、いまなぜ学校の秩序の揺らぎが問題化されるのだろうか。文明の装置と

しての学校の可能性と不可能性を浮か

びあがらせ、21 世紀の学校像を描きたい。

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


1 学校が輝いた時代

第2次世界大戦後、人々は教育の拡大によって悲惨と不幸

からの脱出することを願った。新潟県佐渡島両津街を事例と

しながら、戦後の貧困の中から人々が学校創設にたちあがっ

た時代をみることによって、学校と教育が輝きをもって出発

した時代をあらためてふりかえり、半世紀の間にわれわれが

得たもの失ったものを考える。

竹内 洋

(関西大学教

授)

竹内 洋

(関西大学教

授)


2 新中間層と教育

わが国の学校教育の拡大をリードしたのは、都市新中間層

である、と言われる。ここでは、戦前期におけるこの階層の

形成、およびこの階層と学校教育とのかかわりを分析するこ

とにより、現代日本の教育意識の起源について考えてみたい。

高橋 一郎

(大阪教育大

学助教授)

高橋 一郎

(大阪教育大

学助教授)


3

大衆化する教育意

〜ピアノの普及を

めぐって〜

戦後日本における家庭用ピアノの普及を分析することによ

り、「教育する家族」という社会意識が、中間層をこえて大

衆層へと広がっていった過程、および、この大衆化をもたら

した社会的要因について、考える。

同 上 同 上


4 人口からみる子ど

もと学校

人口構成の変化ほど、日本の学校教育に大きな影響を与え

てきた要因は他にない。最近の大学改革を見てもわかるよう

に、誰もが操ることなできない絶対的な事実として、18才

人口の減少があった。子供数の変化に対する教育政策の対応

や教員の年齢構成などを例にしながら、理念よりも人口構成

の変化が学校教育を動かす側面を検討する。

岩井 八郎

(京都大学大

学院教授)

岩井 八郎

(京都大学大

学院教授)


5

美徳の博物館

〜学校組織の社会学

学校のカリキュラムや教育目標をみれば、社会において何

が望ましいかが、多様に提示されている。一方、それらは望

ましくない事実を発見するための指針でもある。学校の外側

で作り上げられた望ましさの基準の下で、学校は組織として

存続しなければならない。組織としての学校をみる社会学的

視点を提示する。

同 上 同 上


6 学校文化の身体化

ひとくちに学校といっても課程や規模、伝統、男女比率、

進学率などがそれぞれに異なっているのに応じて規律に対す

る考え方も異なり、生徒の気質や文化も異なっている。こう

した違いを風土と文化という観点から整理し、検討してみよ

う。

黄 順姫

(筑波大学助

教授)

黄 順姫

(筑波大学助

教授)

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回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


7

女学生文化

〜羨望と嫌悪のま

なざしのなかで〜

女学生という存在は、それまでの女性についての規範や秩

序を破る新鮮さを期待されながらも、一方では常に「堕落」

しやすい危なっかしい存在という目でみられてきた。それで

は、女学生のどのような行動や生活態度が「堕落」あるいは

「不良」ととらえられたのだろうか。そして、当の女学生た

ちはそうしたまなざしの下でどのように行動し、日常生活を

生きてきたのだろうか。ここでは、「堕落」女学生や「不良」

女学生をめぐる言説や実態を通して、羨望と嫌悪の二面感情

でとらえられてきた女学生の表象とその文化を探ってみた

い。

稲垣 恭子

(京都大学大

学院教授)

稲垣 恭子

(京都大学大

学院教授)


8 女学生の物語・物語

としての女学校

女学生を主な登場人物とする小説は、明治20 年代あたりか

ら出現し明治30 年代には大衆的人気を得るようになった。女

学生の生活実態をうかがい知る機会が少なかった当時におい

ては、女学生の実態をある程度反映しながらも多分に外から

創り出された表象である女学生小説が、現実の女学生のイメ

ージを規定し、また女学校教育にも少なからず影響を与えた

と思われる。ここでは、女学生のパブリック・アイデンティ

ティをつくり上げる上で女学生小説がどのような意味と役割

を果たしたのかを考えてみたい。

同 上 同 上


9 学校・暴力・ことば

の力

学校はその基礎が整った明治の時代から絶えることなく暴

力の影につきまとわれてきた。しかし、1980 年前後を境に全

国の中学校に吹き荒れた校内暴力の嵐は、いかなる意味でも

ことば(理屈)を背景にしていないという点で、それまでの

暴力とはまったく性格を異にするものであった。この校内暴

力への対処という困難な仕事に身を挺してあたってきた教師

たちの話をもとに現代における教育の意味をあらためて考え

てみることにしたい。

山本 雄二

(関西大学教

授)

山本 雄二

(関西大学教

授)


10

教育問題と責任の

帰属

〜「いじめ」自殺事

件をめぐって

「いじめ」はそれが死と結びついていると認識されたとき

から社会問題になり、やがて学校問題になった。それは学校

が責任を問われるべき問題になったことを意味していた。責

任は裁判で問われた。

ここでは「いじめ」自殺裁判の事例を通して、裁判で学校

教育の何が問われたのか、判決文の論理構成を追いながら検

討する。

同 上 同 上


11 記憶のなかの学校

学校システムは同窓会システムとの関係のなかで機能す

る。同窓生達は記憶のなかの学校としての母校へ経済的・心

理的援助をする。一方、母校に対し文化的正統性を押し付け

る。学校と同窓会の象徴的権力関係を解明しよう。

黄 順姫 黄 順姫


12

パブリック・スクー

ルというノスタル

ジア(1)

英国のパブリック・スクールは全人教育がなされる学校の

理想型として多くの国で模倣された。日本では、戦後すぐに

池田潔が自らの体験をもとに書いた『自由と規律』が多くの

人に読まれ、学校の模範とされた。パブリック・スクールが

どのようにして理想の学校になったかをみる。

竹内 洋 竹内 洋

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回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

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(所属・職名)


13

パブリック・スクー

ルというノスタル

ジア(2)

内容は12 回と同じ

竹内 洋 竹内 洋


14

反抗少年トニー・ブ

レアとパブリック・

スクール

変化の激しい現代社会の中で学校の模範といわれたパブリ

ック・スクールはどのように伝統を守り、21 世紀に適応をし

ているのだろうか。ブレア首相やワーズワースの母校であり、

近年『ハリー・ポッター』で有名になったフェテス・カレッ

ジを訪問して、学校教育における保守と革新について考える。

同 上 同 上


15 学校・教育・学び

学校と教育、学びの意味について統括的に考える。

同 上 同 上