HOME 2005/01/21 1127519.doc 1 =21世紀の社会学(‘05)=(TV 〔主任講師: 船津衛(放送大学教授)〕 〔主任講師: 山田真茂留(早稲田大学教授) 〕 〔主任講師: 浅川達人( 放送大学助教授)〕 全体のねらい 社会学とはどのような学問なのかを知るために、自我・自己都市、集団・組織、集合行動、ジェン ダー、宗教、情報、災害、高齢者、病い、死などの新しい社会現象について具体的に考察し、そこから、 21 世紀の社会学の課題を明らかにして、社会学への理解を深めることを目的とする。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
21 世紀の社会学 とは 21 世紀を迎えた現代社会はグローバル化、地球規 模の環境破壊、家族の少人数化・高齢化、情報化、 また人々の自我の変容など、変化・変動がきわめて 著しいものとなっている。このような中での21 世紀 の社会学の新しいあり方について考察する。 船津衛 (放送大学 教授) 船津衛 (放送大学 教授)
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現代社会におけ る自己の諸相 社会学自己論の潮流を、他者の視点を束ねて問題 を解決してゆくミードの自己論、脱中心化され状況 次第で流動するポストモダンの自己論、そして、流 動性を持ちながらも状況を越えた行為を展開しよう とする物語自己論などに整理し、その特徴を論じる。 伊藤智樹 (富山大学 助教授) 伊藤智樹 (富山大学 助教授)
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都市空間の社会 学 現代大都市が経験している社会変動の多くは手で 触れ、直接目で見ることもできないが、人々の日常 生活に及ぼした影響は痕跡として空間構造に刻み込 まれている。都市の空間構造とその変化を可視化す る道具として社会地図を用いて、都市社会の構造の 変動を考えていく。 浅川達人 (放送大学 助教授) 浅川達人 (放送大学 助教授)
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集団・組織と新 しい関係性 集団・組織の役割は個人主義化が進行している現 代社会においても、なお重要性を増している。他方、 ネットワークや集合的アイデンティティなど、既存 の集団や組織の枠を超え出た現象も見られるように なってきている。このような新しい動きを見据えな がら、集団・組織現象の最前線に迫っていく。 山田真茂留 (早稲田大 学教授) 山田真茂留 (早稲田大 学教授)
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集合行動へのア プローチ パニック、流言、流行、リンチ、都市暴動、反戦 運動や環境運動などの集合行動について、集合行動 と日常行動との異同、集合行動の生成と進展を規定 する社会構造、個人の信念や相互作用と集合行動の ダイナミズムという観点から考察していく。 田中淳 (東洋大学 教授) 田中淳 (東洋大学 教授) 2005/01/21 1127519.doc 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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共同性と公共性19 世紀から20 世紀にかけての近代社会の成立期 において、個人化の進展に直面して、「共に同じで ある」という意味での「共同性」をいかに再び確保 するかが問題とされてきた。20 世紀から21 世紀に かけての近代社会の成熟期においては、個人化を前 提としたうえで、「公を共にする」という意味での 「公共性」をいかに新たに構築するかが問題となっ てきている。これから2つの概念を軸として、近代 社会の変動にともなう社会編成のあり方について考 察する。 澤井敦 (慶應義塾 大学助教 授) 澤井敦 (慶應義塾 大学助教 授)
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ジェンダーと現 代 まず、1970 年代にジェンダーという言葉が登場し たことの意味を論じ、次いで、ジェンダーには個人 にとって違和感のあるものとそうでないものがある ことを指摘する。そして、身近な事例を通して、潜 在化しているジェンダーの問題を論じ、現代におい てジェンダーが揺らぎの中にあることを明らかにす る。 早川洋行 (滋賀大学 助教授) 早川洋行 (滋賀大学 助教授)
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身体感覚とリア リティ 今日の癒やしブームに共通する点は人々の五感に 働きかけ、希薄化した身体感覚のリアリティを快適 さとともに回復することにある。このような観点か らすると、現代はあらゆる活動が視覚中心に編制さ れている。本章では、近代における視覚による身体 管理の系譜を辿りつつ、癒やしブームの意味につい て明らかにする。 出口剛司 (立命館大 学助教授) 出口剛司 (立命館大 学助教授)
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世俗化と現代宗 教 本章では宗教社会学の根本をおさえ、現代宗教が どのような様相を呈しているかについて考察する。 世俗化のイメージとして宗教の衰退と見る視角と宗 教の変容と見る視角の2通りがあるが、今日の状況 を見たときどちらが妥当なのだろうか。伝統的に制 度化された宗教だけでなく、新宗教運動の展開も射 程におさめ、宗教と社会の関係性の今日的な位相を 見定めていく。 山田真茂留 山田真茂留
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情報とコミュニ ケーション 従来、パーソナル・コミュニケーションとマス・ コミュニケーションが区別されてきたが、インター ネットの普及によって、この区別が再検討されるべ き段階に至っている。情報の過剰がもたらす弊害と コミュニケーション不全の問題に言及し、人が生き ていく上で、情報とコミュニケーションがもつ意味 を考える。 早川洋行 早川洋行
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災害と社会都市化や高齢化といった社会構造の変化が被害の 大きさや形態に与える影響、地域構造や組織構造が 対応行動に与える影響、社会が内包する災害文化が 事前の準備度や避難に与える影響という側面から、 災害の被害軽減に社会学が果たしてきた貢献と今後 期待される領域について論じていく。 田中淳 田中淳 2005/01/21 1127519.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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高齢者の社会関 係 社会的に孤独な高齢者というステレオタイプが 人々の意識の中に根強く埋め込まれているが、実証 研究はそれはきわめてまれなことを明らかにしてい る。高齢者が他者との間に有意味な関係を維持して いることを前提に、他者との関係を支配しているメ カニズムや他者との関係が高齢者に及ぼす影響を考 察する。 浅川達人 浅川達人
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健全さと病いの 物語 医療の発展によって、われわれは多くの恩恵を被 る一方で、健全さと病気に関する偏った見方を抱く ようにもなった。21 世紀の社会において、近代社会 に流通する回復の物語に生きがたさを感じる人々 が、自分にあった物語を探っていくことを問題とす る。 伊藤智樹 伊藤智樹
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〈死〉の受容と 〈生〉の技法 近代社会は死を合理的に身体的=精神的活動の絶 対的終焉とし、死にまつわる事柄をすべてタブーと し、身近な生活から死の痕跡を排除してきた。本章 では、近代が成し遂げた死の無意味化について解明 し、そこから現代における生の意味について考察す る。 出口剛司 出口剛司
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21世紀社会の ゆくえ―モダニ ティとポストモ ダニティ 社会学においては、近代社会の編成を「モダニテ ィ」として整理し、モダニティを離脱、再編成しよ うとする動きを「ポストモダニティ」として把握す る試みがなされている。本章では、モダニティとポ ストモダニティのせめぎあいを概観し、21世紀社 会の様相を展望する。 澤井敦 澤井敦