HOME 2004/11/08 1 858610.doc 科目名ヘーゲルを読む(03) 1/2 ＝ヘーゲルを読む（‘０３）＝（TV） 〔主任講師： ��山守(東京大学教授)〕 全体のねらい ヘーゲル哲学は、多くの人々がそれを一級の哲学であると認めるにもかかわらず、哲学的に評価されることがほとんどな いという、奇妙な哲学である。しかし、本当はヘーゲル哲学には評価されるべき豊かな哲学的内実が隠されている。これを 明るみに出し、できるだけ平易にお話する。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属･職名) 放送担当 講師名 (所属･職名)

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1 ヘーゲル哲学をど う読むか。 ヘーゲル哲学というと、ほとんどもっぱら非難論難の対象 となるばかりで、哲学的に評価されることがない。しかし実 はそこには、哲学的な豊かな内容が隠されていると思われる。 まずは総じてそれがいかなるものであるのかを、見通す。 ��山守 ( 東京大学教 授) ��山守 ( 東京大学教 授)

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2 若きへーゲルの思 想�T（ベルン期ま で） この豊かな内実の萌芽はすでに、いまだ必ずしも哲学が主 題化されていない大学卒業直後の草稿にも見て取ることがで きる。これを瞥見する。ヘーゲル哲学は、しばしば言われる ように、きわめて堅牢で、賢固な首尾一貫性を保持している のである。 同上同上

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3 若きへーゲルの思 想�U（フランクフル ト期） ヘーゲル哲学のこの若き時代の萌芽は、ヘーゲルのいわゆ るフランクフルト期において、なお宗教論という形態をとり つつ、徐々に明確な形態をとるに至る。このプロセスおよび そこに展開される哲学的思索の内実をたどる。 同上同上

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4 『差異論文』を読む �T 1801 年に執筆されたいわゆる『差異論文』は、いうならば ヘーゲルの哲学宣言である。ヘーゲルは、これまでの思索の 蓄積を踏まえ、「いまこそ哲学」という哲学宣言を行い展開 する。ここに蔵されたヘーゲル哲学の内実看取のための多く の示唆を読み取る。 同上同上

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5 『差異論文』を読む �U 引き続き『差異論文』により、ヘーゲル哲学の基本性格を 明確にする。この著作は、後に展開されるヘーゲル哲学の形 式（方法論）および内容を、非常に正確に素描している。こ れに立ち入るとともに、いわゆるヘーゲルの「弁証法」（矛 盾の論理）に言及する。

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同上同上 6 『信仰と知』を読む 『差異論文』と同時期、これに続いて、『信仰と知』が執 筆される。これを繙き、ヘーゲル哲学とカント哲学との関係 を一瞥する。これによって、ヘーゲル哲学の基本性格とその 一貫性がさらに明瞭となりうる。 同上同上

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7 「イェーナ実在哲 学」を読む ここでまずは、これまでの論議を踏まえ、ヘーゲル哲学を 読み解く鍵となる概念が、「絶対無」であることを見て取る。 この概念は、いわゆる「イェーナ実在哲学」において、特有 の精神的境地として論じられ展開されるが、引き続き、その 境地論に立ち入る。 同上同上 2004/11/08 1 858610.doc 科目名ヘーゲルを読む(03) 2/2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属･職名) 放送担当 講師名 (所属･職名)

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8 『イェーナ形而上 学』を読む 精神的境地論から、再び理論哲学へと立ち返り、イェーナ 期の「形而上学」をたどる。この時期のヘーゲルにおいて「形 而上学」とは、「絶対存在」の哲学と見なされがちなのだが、 実はそれも「絶対無」の展開にほかならないことを確認する。 ��山守��山守

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9 『精神現象学』を読 む�T ヘーゲルの主著のひとつ『精神現象学』を取り上げ、この 著作にも、基本的に「絶対無」の思想が貫かれていることを 見る。また同時にこの著作により、ヘーゲル哲学の「体系」 なるものが、そもそもいかなる意味をもっていたのかを、た どる。 同上同上

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10 『精神現象学』を読 む�U 『精神現象学』本文冒頭のいわゆる「意識」章を取り上げ る。「感性的確信」、「知覚」、「悟性」と、論述を順次た どることにより、「絶対無」の思想が、どのように具体的に 説かれるのかを、見る。同上同上

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11 『精神現象学』を読 む�V 『精神現象学』第五章「理性」章・第二節を取り上げ、ヘ ーゲルが、行為論的な見地から自らの哲学をいかに論じるか を見る。ここにおいてもその論議の核心は、特有の「無」− −「運命」、「必然性」、「世の流れ」−−なのである。同上同上

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12 『精神現象学』から 『論理学』へ 『精神現象学』の最終章「絶対知」と、ヘーゲルのもう一 つの主著『論理学』冒頭のいわゆる有−無−成の弁証法とを 取り上げる。「絶対知」とは、まさに「絶対無」の知である が、そこにおいて、『論理学』が、したがって、有−無−成 の弁証法が、展開される基盤が獲得されるのである。 同上同上

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13 『論理学』を読む�T 第二部「本質論」冒頭の「仮象」に論及する。「本質論」 においては、「根拠」、「因果性」、「必然性」等の最重要 カテゴリーが主題化されるが、これら諸カテゴリーの基本構 造−−いわば「無」の構造−−が「仮象」論で呈示される。 「反省」論にも若干立ち入る。 同上同上

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14 『論理学』を読む�U 引き続き第二部「本質論」における「現実性」論を取り上 げる。ここにおいて、「可能性」、「現実性」、「必然性」、 「偶然性」という、いわゆる様相のカテゴリーが詳論される。 ここでの眼目は、「絶対的必然性」とは、実は「偶然性」に ほかならない、という重要な論点である。これに立ち入る。 同上同上

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15 『論理学』を読む�V 第三部「概念論」冒頭の「概念一般」を主題化する。「普 遍性」（「概念」）とは、「特殊性」および、「個別性」と は区別されつつも、これらと一体であるという。こうした「概 念」とは実はかの特有の「無」の再論であることを見る。最 後に、総じてヘーゲルの「無」の思想が、日本思想と密接に 関連していることに触れつつ、ヘーゲル論を締めくくる。 同上同上