HOME 2004/11/08 1615610.doc 科目名東アジア・東南アジアの住文化(03) 1/2 =東アジア・東南アジアの住文化(‘03)=(TV 〔主任講師: 藤井明(東京大学教授)〕 〔主任講師: 畑聰一(芝浦工業大学教授)〕 全体のねらい 東アジア・東南アジアは、世界的に見てもアフリカと並ぶ住居の多様性が観察される地域である。これは民族や部族の多 様性に由来するものであるが、住居形式、素材、構法等に加えて、その造形や装飾等の面においても独自の工夫が見られる。 様々な住まい方を紹介することで、伝統的な共同体が如何に機能してきたかを考える契機にする。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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伝統的集落・住居に 関する概説 東アジア・東南アジア地域の各民族、部族は独自の住様式 を持っているが、それらを総論的に紹介しながら、なぜ、か くも多様な住居形式を考案する必要であったのか、その理由 について、風土と共同体の在り方から考える。 藤井明 (東京大学教 授) 藤井明 (東京大学教 授)
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韓国 両班住宅・河回 世界的に見て、住宅に入るときに履き替えを行う地域はそ れほど多くないが、朝鮮半島はわが国と同様に履き替えを行 う。歴史的なつながりや地理的条件を考え合わせて、住居も 同じようなものと思い込みがちであるが、韓国の住まいはわ が国とは全くといってよいほど異なる。伝統的な民家集落と して有名な韓国慶尚北道、河回里を取り上げ、集落の構造、 建物の配置、その中に建つ両班住宅などの観察を通して、韓 国独特の居住空間の構成原理とそこに暮らす人々の住居観を 紹介する。 本間博文 (放送大学 教授) 本間博文 (放送大学 教授)
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中国 黄土高原の穴居・窰 洞 中国北部の黄河中流域は夏は40℃を越え、冬には−2 0℃まで下がる乾燥した大地−黄土高原が広がっている。こ の過酷な大地に、約7000万の人々が<窰洞>と呼ばれる 穴居に住んでいる。森を失った大地に適応した住まいの工夫 を論じる。 月舘敏栄 (八戸工業大 学教授) 月舘敏栄 (八戸工業大 学教授)
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中国 中庭型住居・四合院 三合院 漢族は建物<房>を中庭を囲んでロの字状に配置した<四 合院>、あるいはコの字状に並べた<三合院>に住んでいる。 この漢族の住居形式の空間構成と架構技術の特徴について、 漢族の影響を受けた少数民族の多様な中庭型の住まいを含め て解説する。 同上同上
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中国 巨大な集住体・客家 の土楼 客家の土楼は、巨大な住居であり集落でもある。その特異 な形態をつくり出した背景として、数世同堂の大家族制度や、 移住者としての歴史等があげられる。客家独自の家族観や自 然観を明らかにすることで、集住形態のメカニズムを探る。 井上えり子 (京都女子大 学助教授) 井上えり子 (京都女子大 学助教授)
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中国 空間構成と共生の しくみ・タイ族 中国雲南には多くの少数民族が居住しており、独自の集住 文化を形成している。これらの民族は共に豊かに暮らすこと を目的とした共生のしくみを持ち、それらの多くは共通点が ある。タイ族を中心にその住居と集落の空間構成と多様な共 生のしくみについて解説する。 岡田知子 (西日本工業 大学助教授) 岡田知子 (西日本工業 大学助教授) 2004/11/08 1615610.doc 科目名東アジア・東南アジアの住文化(03) 2/2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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中国 社会制度と住まい 方・永寧ナシ族(モ ソ人) 中国雲南省西北部に居住する永寧ナシ族は、母系社会で妻 問婚(通い婚)を採用している。「家族」は妻と子供と妻側 親族で構成されている。社会制度や家族の概念が異なると、 住まいの形態やその使われ方はどのように異なるのかという ことについて、事例をもとに考える。 井上えり子井上えり子
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台湾 季節による住み分 け・ヤミ族 台湾とルソン島の間に連なる島々の最北に位置する島、蘭 嶼のヤミ(タオ)族は、半地下式の地床と高床、風を通す高 床の涼み台といった複数の住棟で自然に対処する住まいかた を生み出した。扇状地に段状につくられたその住まいの特徴 をみていく。 乾尚彦 (学習院女子 大学教授) 乾尚彦 (学習院女子 大学教授)
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フィリピン 高床と地床・ルソン 島北部山地民 ルソン島北部山地のボントック族は、地床居住でありなが ら住居内部に高床の架構をつくる。近隣のイフガオ、カリン ガ、アパヤオ族などがそれぞれ特徴ある高床住居をつくるこ とと比較して、どうしてこのような一見不合理な住まいが生 まれたかを考察する。 同上同上
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タイ 焼畑移動民の住ま い・アカ族 焼畑移動民としてのアカ族が、バンドとして移動しながら 集落や住居をつくり、共同社会を維持する方法について解説 する。また、男と女の空間の使い方について述べる。アニミ ズム、生産暦、家づくりのシステムがどのようにかかわって いるかを論じる。 畑聰一 (芝浦工業大 学教授) 畑聰一 (芝浦工業大 学教授)
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マレーシア サラワク州の長大 住居・ロングハウス サラワクの2種族(ビダユ、イバン)の事例を対象にして、 共用空間を一列につなげて村落をつくるロングハウスと呼ば れる独特な居住様式とその集合の仕組みについて解説する。 精神世界、共用通路、集合規則、共同社会、増改築手法等に ついて論じる。 同上同上
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インドネシア 住まいと集落の規 律・ニアス族 熱帯のジャングルをきり開いてつくられた南ニアスの集 落。それは、列状に民家が整然と並ぶばかりでなく、中央に 巨大な首長の家を配置し、それを中心としたヒエラルキーを 持つことで知られている。こうした規律のある集落の生まれ る理由を考察する。 乾尚彦乾尚彦
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インドネシア バリ・ヒンドゥーの 住まい・バリ族 自然との共生をめざすバリ・ヒンドゥーの世界観を具現さ せる住居と集落の空間構成法と住まい方について解説する。 方位・方角にかかわるバリ独特の考え方、人体寸法と空間と の関係、生活面のヒエラルキー等について論じる。 畑聰一畑聰一
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インドネシア 小スンダ列島の住 まい・スンバ族 小スンダ列島には極めて個性的な造形の高床式住居が多 い。それらを紹介することにより、住居形式と住民の宗教観、 宇宙観等との対応関係や、郷土材料の巧みな使用方法につい て考える。 藤井明藤井明
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東アジア・東南アジ ア地域の住文化の 特性 東アジア・東南アジア地域の住まい方について、その特性 や問題点について、担当講師が座談会形式で論じ、本講座の まとめとする。畑聰一藤井明 畑聰一