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=法システムT(‘02)=(TV)

− 比較法システム論−

〔主任講師: 六本 佳平(放送大学特任教授)〕

全体のねらい

伝統文化との相克のなかで独自の近代西洋型法システムを確立しつつある日本との比

較において、近代西洋型を共有しつ

つも興味深い差異を示す英・米・独・仏・伊の特徴を現代の環境下で探る。また中・

韓・ベトナム・タイ・マレーシアにつ

いて、近代化の政治的経緯、伝統文化、国際環境等を背景に、アジアにおける近代型

法システムの形成過程を分析する。特

に、裁判制度、法律家、国民の法意識の流動する現状を映像で活写する。

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


1 法システムを比較

する

序論として、法システムの概念、そのあり方が政治・経済・

社会・文化に対して及ぼす機能的意義と逆にそれらから受け

る影響、および大きく近代化と呼ばれる社会変化における近

代型法の意義などについて概説し、日本を中心として一方で

西洋諸国、他方でアジア諸国を見る比較分析の視座を設定す

る。

六本 佳平

(放送大学特

任教授)

六本 佳平

(放送大学特

任教授)


2

日本の法システム

(1)

諸外国の法システムとの比較の基準となる日本の法システム

について概説し、その中心的構成要素である裁判制度および

法律家の制度、およびその実際の作用や法文化との関係につ

いて説明する。日本法の今日までの発展過程のこの観点から

の特色を概説し、諸外国との比較分析の意義について述べる。

同 上 同 上


3

イギリスの法シス

テム

(以下の5 章では、西洋諸国の法システムの歴史的・文化的

特色・現代の諸問題を、日本との比較を念頭におき、裁判制

度・法律家・法役務のあり方を中心に、各国の特徴的な面に

焦点を合わせて描き出す。)イギリス:コモン・ロー、法律

家と自治の伝統、法曹一元制、バリスタ・ソリシタの一元化、

裁判官の地位、国民の法利用とソリシタ制の特色、法律助言・

扶助等

同 上 同 上


4

アメリカ合衆国の

法システム

(同上) アメリカ: 連邦制、違憲審査制、陪審制、ロースク

ールの役割、弁護士の職域・業務形態の多様性、弁護士費用

制等。 同 上 同 上


5

ドイツの法システ

(同上) ドイツ: 大陸型の法、国家試験と法曹養成制度、大

陸型裁判官の地位、参審制、弁護士・企業弁護士・公証人、

法定弁護士報酬制度、弁護士事務補助員制度等。 同 上 同 上


6

フランスの法シス

テム

(同上) フランス: 法的人材養成制度、大学法学部の役割、

陪審制、裁判官の特色、女性裁判官の進出、諸種の弁護士の

統合、社会変化への対応、ヨーロッパ統合と法律家等。 同 上 同 上


7

イタリアの法シス

テム

(同上) イタリア: 大学法学教育の伝統、法曹養成制度とそ

の改革、裁判と政治、弁護士過剰問題、国民の法・裁判観等

六本 佳平

山口 浩一郎

(放送大学教

授)

六本 佳平

山口 浩一郎

(放送大学教

授)

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回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


8

欧米の法システム

―討論1―

以上の諸国の法システムの観察を、欧米の西洋近代型法シス

テムの間の個性の違いや、それらとの比較の観点から日本の

特色を再度振り返る観点から、専門家ゲストを交えて討論形

式で総括する。

六本 佳平 六本 佳平


9

韓国の法システム

(以下の6章では、各国の近代化の政治過程の特色、西洋法

制度の影響ないし導入、伝統的秩序の特色、第二次大戦後の

政治変動との関係等を背景とし、近代法システムの形成にお

ける独立の司法部、法律家の形成、伝統的国民意識や現代の

国際化の影響を含めて、日本との比較の枠組みを論ずる。)

韓国:大統領制の意義、儒教文化の影響、日本の法制度の影

響と相違点、司法制度改革、国際化の影響等

同 上 同 上


10

中国の法システム

(同上) 中国:法システムの制度的枠組み、社会主義的市場

経済の発展における法の役割、法律家の創出、紛争処理過程

の特色、国際取引における諸問題等。

同 上 同 上


11

タイ国の法システ

(同上) タイ: 君主制民主主義の法システムの概観、大陸

法系の法システムの下でのイギリス法制度の影響、法律家の

制度、近年の司法制度の改革、伝統的紛争処理過程と民衆の

法意識、経済の国際化の影響等

同 上 同 上


12

マレーシアおよび

ベトナムの法シス

テム

(同上) ベトナム: 現代ベトナム法システムの概観、伝統文

化の影響、日本による法整備援助、法律家の創出、経済発展

における法システムの役割等。

マレーシア: イギリス法制度の影響、法学教育・法曹養

成制度、民衆の法・裁判意識、国内サブカルチャの問題、経

済の国際化の影響等

同 上 同 上


13

アジア諸国の法シ

ステム

―討論2―

(同上) 以上のアジア諸国の現代の法システムの観察を総括

し、アジアにおける近代法システムの形成過程の特色や課題、

また日本の法システムとの関係や比較について、専門家ゲス

トを交えて討論形式で論じる。 同 上 同 上


14

日本の法システム

(2)

日本の法システムは、急激な社会変動の下で、司法制度改革

を中心として近年大きく変化しつつある。この章では、法役

務の形態に焦点を合わせて、新たな法と社会のあり方への模

索の過程と課題を探る。

同 上 同 上


15

総括と展望

以上の全体を総括し、近代西洋型法システムとそのアジア地

域での形成のさまざまなあり方、日本の法システムとの相互

作用関係、経済発展や政治的民主主義・自由主義との機能的

関係、将来の発展方向等について、専門家ゲストを交えて討

論形式で論ずる。

同 上 同 上