HOME 2002/11/01 1826816 科目名教育社会学(03) 1/2 =教育社会学(‘03)=(TV 〔主任講師: 岩永雅也(放送大学教授)〕 〔主任講師: 稲垣恭子(京都大学大学院助教授)〕 全体のねらい 人は生まれながらにして人間であるわけではない。家族という基礎的な小集団の中に生まれ、親密な人間関係を通じて自 我を形成し、やがて一般化された人間関係が縦横に展開する社会との接触を通してその社会の文化と規範を身に付けること により、一個の自律的な人間となるのである。その意味で人間はすぐれて社会的な存在であるといえる。本講義は、人々が 生まれ、育ち、学び、働き、さらに自らの子ども達を育て、自己を実現していくというプロセスを縦糸とし、人々がそのプ ロセスの各段階で関わっていくさまざまな教育の在りようを横糸として、社会的な営みとしての教育の意味と本質を理解し ていくことを目的としている。あわせて最近の教育状況とそれを巡る環境の変化に関しても検討を進める。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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教育社会学の視座 教育社会学とはどんな学問領域なのか、どのような方法を 用い、何を研究対象として研究を進めるのかといった、教育 社会学をめぐる基本概念について考察する。あわせてこれま での研究史のにも概略的に言及する。 岩永雅也 (放送大学教 授) 岩永雅也 (放送大学教 授) 稲垣恭子 (京都大学大 学院助教授)
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自我の形成と変容 人は生まれながらにして自分自身、つまり自我を持ってい るわけではない。人の成長の核となる自我は何を要素として どのような背景と条件のもとに形成されるのか、I me の概 念などを手掛かりに自我の形成について考える。 稲垣恭子 (京都大学大 学院助教授) 稲垣恭子 (京都大学大 学院助教授)
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家族文化と社会化 子ども達がまず最初に出会う基礎的集団である家族がどの ように彼らの自我を変容させ、社会化していくか、家族とは どのような機能を持ち、いかなる文化を伝達していく存在な のか、社会化の基礎概念とあわせて検討する。 同上同上
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幼児教育の意味 家族から学校への移行期には、ほとんどの子ども達が就学 前教育を体験する。ここでは、現代社会において幼時に対す る教育が持っている社会的意味を検討した上で、その現状と 問題点を考察する。 森繁男 (京都女子大 学教授) 森繁男 (京都女子大 学教授)
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学校教育への参加 近代化の進んだ社会において、すべての子どもが同質性の 高い学校教育に参加していくということの意味を考える。特 に初等段階の学校が持つ社会化機能の本質や内面化される規 範の性格などについて詳しく検討する。 稲垣恭子 (京都大学大 学院助教授) 稲垣恭子 (京都大学大 学院助教授)
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教師・生徒・カリキ ュラム 教室の中で展開される教授−学習過程の諸相を、教師、生 徒(児童)、カリキュラムという三つの観点から立体的に検討 し、教室という場が持つ社会化力の本質について理解を深め る。あわせて現下の問題にも言及する。 同上同上
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分岐点としての中 等教育 近代社会における中等教育機関は、社会化機能の上からも 発達段階に関しても、また社会的階層分化という点から考え ても、あらゆる意味で「分岐点」というに相応しい存在である。 ここではその構造と機能を体系的に考察する。岩永雅也岩永雅也 2002/11/01 1826816 科目名教育社会学(03) 2/2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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教育の病理現象 思春期と重なる中等教育段階では、さまざまな形の逸脱現 象が見られる。その中には恒常的に繰り返される「通常の」逸 脱も、特殊な時代的背景を持つ現象もある。それを類型的に 整理しつつ、今日の教育的病理現象を考える。 滝充 ( 国立教育政 策研究所室 長) 滝充 ( 国立教育政 策研究所室 長) 岩永雅也
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教育におけるジェ ンダー 「社会や文化がつくりあげる性」としての「ジェンダー」 は、男女平等を旨とする学校教育にあっても「隠れたカリキ ュラム」という形をとって入り込んでしまう。ここではその ように「ジェンダー化」された学校教育と、これを克服しよ うとする試みを社会学的に考察してゆきたい。 森繁男 (京都女子大 学教授) 森繁男 (京都女子大 学教授) 稲垣恭子
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学校の選別機能 近代社会におけるフォーマルな学校教育は、能力による選 別と職業的階層社会への人材の配分を主要な機能の一つにし ている。学校の持つ選別と人材配分機能のあらましと社会的 意味、およびその結果が社会的に正当なものとして受け入れ られている根拠について考察する。 荒井克弘 ( 東北大学教 授) 荒井克弘 ( 東北大学教 授) 岩永雅也
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高等教育の多様性 高等教育は初等・中等の学校システムとは異なる背景のも とに、職業的専門性に接合する形で形成されてきた。そのこ とが高等教育機関を多様なものにする大きな要因となってい る。ここでは、近代社会において多様に展開する高等教育の 実態とその基本的な社会的機能について検討する。 米澤彰純 (大学評価・学 位授与機構助 教授) 岩永雅也 米澤彰純 (大学評価・学 位授与機構助 教授)
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学歴と社会階層 多くの近代社会は、家柄や身分等の属性原理を廃し、学歴 を指標とした業績原理を採用することで、学校を産業社会に おける人材配分の最も重要なデバイスに位置づけた。ここで は、学歴と社会階層との関わりを理解した上で、学歴主義と 学歴社会の本質を探る。 岩永雅也岩永雅也
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メディア社会の教 育 現代社会を解く鍵の一つがメディアである。教育という領 域もその例外ではない。メディアと学校教育は現在どのよう に関わっているのか、それが現代の教育のあり方にどのよう な影響を与えているのか、また、今後その関係はどう変化し ていくのか、といった点について実証的に論じる 吉田文 ( メディア教 育開発センタ ー教授) 吉田文 (メディア教 育開発セン ター教授) 岩永雅也
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生涯学習社会の展 望 生涯学習社会は、あらゆる学習機会を統合し、有機的に結 合することによって実現することができる。生涯学習社会に おける教育はどのようになるのか、またそこに至るまでには どのような問題点や課題を解決する必要があるのか、総体的 な視点から議論を進める。 岩永雅也岩永雅也
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教育の現代的課題 今日の学校および教育そのものが直面する具体的な問題を 実態に即して取り上げながら、その背景と解決への糸口を探 る。あわせて今後わが国の教育がどのように展開していくの か、その近未来像を展望する。同上 岩永雅也 稲垣恭子