HOME 2004/12/09 1127810.DOC 1 =日本国憲法(‘05)=(TV 〔主任講師: 大石眞(京都大学大学院教授)〕 全体のねらい 比較憲法史や憲法の一般理論などの成果を踏まえつつ(1〜3)、現行の日本国憲法が定めている統治 構造(4〜9)と権利保障(10〜15)について、主要な論点を取り上げながら検討を加えることを 通して、憲法に対する理解をより深めることができるよう努めたい。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 ( 所属・職名) 放送担当 講師名 ( 所属・職名)
1 憲法の考え方 憲法の意味やそのあり方について概説する。すな わち、憲法の概念(実質的意味の憲法・形式的意味 の憲法・立憲的意味の憲法)、その法源(憲法典・ 憲法附属法・憲法判例)、そして憲法解釈の方法な どについて説明する。 大石眞 (京都大学 大学院教 授) 大石眞 (京都大学 大学院教 授)

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明治立憲制の 成立と運用 かつて公式に帝国憲法と略称され、今日一般に明治 憲法といわれる大日本帝国憲法は、東洋で初めて制 定された憲法典である。明治立憲制はこれを中心に 成立するが、ここではその制定経緯や特色を明らか にし、実際の運用における問題点なども検討する。 同上同上
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現行憲法の制 定と基本原理 ポツダム宣言の受諾に始まり、占領管理体制の下で 進められた現行の日本国憲法の制定経過をたどり、 その特色を浮き彫りにするとともに、基本原理とい われるものと憲法改正問題との関係などを検討す る。 同上同上
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半直接民主制 −国民と国会 日本国憲法の第一の特色を「半直接民主制」とみ る立場から、国民と国会との関係を明らかにする。 そのため、国民主権や参政権の内容をみた後、公民 団(有権者団)の構成原理、国民発案・国民表決な どの意義、具体的な国政選挙のあり方、政党の位置 づけなどを検討する。 同上同上
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議院内閣制 (1)−国会 現行憲法の第二の特色を「合理化された議院内閣 制」とみる立場から、国会と政府との関係を明らか にする。まず、両議院の組織や両院制のあり方につ いて検討を加えるとともに、その立法・財政・政府 統制などの権能や国会両議院の手続などを取り扱 う。 同上同上
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議院内閣制 (2)−天皇と 内閣 政府を形づくる天皇と内閣の地位・権能・手続を 概観する。具体的に言えば、皇位継承法や天皇の国 事行為をめぐる問題点を探るともに、内閣の構成 (内閣総理大臣と閣僚)と権限(行政組織統轄権・ 総合調整機能など)について検討を加える。 同上同上
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司法審査制 −政治と裁判 現行憲法の第三の特色を「アメリカ型法の支配」と みる立場から、国会・内閣などの政治部門と司法裁 判所との関係を明らかにする。そのため、司法組織 の概要を説明した後、司法権の意味と限界、合憲性 審査制度のあり方などを検討する。 同上同上 2004/12/09 1127810.DOC 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 ( 所属・職名) 放送担当 講師名 ( 所属・職名)
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財政民主主義 − 国家と財政 財政立憲主義ともいわれる財政民主主義の原則を形 づくる憲法規定の内容を概説する。ここでは、租税 制度・予算制度をめぐる問題点を中心的に取り上げ るが、財政作用に対する憲法上の制約などについて も検討する。 大石眞大石眞
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地方自治 −国と地方自治体 地方自治の原理と構造について検討する。すなわ ち、地方分権の理念、地方自治体の組織と機関、国 の法令と条例との関係といった伝統的な論点に加え て、自治事務と法定受託事務、地方自治体に対する 国の関与のあり方といった最近の論点を検討する。 同上同上
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人権と権利保障 人権・基本権・基本的人権といったさまざまな観 念を整理した後、権利主体、権利保障の方法・関 係・限界といった権利保障に関する通則を検討する とともに、国際人権保障のしくみや人権条約などに ついて概説する。 同上同上
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包括的権利 現行憲法13条が包括的に定めている幸福追求権及び 適正手続保障の具体的内容について検討するととも に、いろいろな場面で問題となる憲法14条が定めて いる平等原則のもつ意味や効果について、最高裁判 所の主要な憲法判例を紹介しつつ、考察する。 同上同上
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人身の自由と 私生活の保護 いろいろな権利や自由の中で、最も基本的な権 利に位置づけられる人身の自由を確保するための基 本原理と人身拘束の典型的な場面に対する制約を意 味する「憲法的刑事手続」の考え方を検討するとと もに、私的生活を形づくる居住の自由と住居の不可 侵、通信の秘密などについて検討を加える。 同上同上
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精神的自由 学問・教育といった人格形成に関する自由、宗教的 自由、表現や放送といった情報に関する自由、そし て集会・結社といった集団行動に関する自由につい て、主要な論点に着目し、最高裁の憲法判例を踏ま えつつ、検討する。 同上同上
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経済的自由 職業の選択、財産権の行使、契約といった生活営為 のための諸活動を検討するとともに、こうした経済 活動に対する制約を予定している憲法規定(労働三 権など)のもつ意味についても吟味する。 同上同上
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国務請求権 ここでは、国民が国家の不作為を求める自由権の 保障とは異なって、国家の積極的な作為を求める場 面を対象とする。すなわち、裁判請求権のような伝 統的な国務請求権や、生存権などのように比較的新 しい請求権などの概要について検討する。 同上同上