HOME - 1 - =脳の健康科学(‘02)=(TV 〔主任講師: 小川紀雄(岡山大学教授)〕 〔主任講師: 仙波純一(放送大学教授)〕 全体のねらい 脳は生体のすべての機能をつかさどる中枢である。この脳を理解するには、異なった次元からの多角的なアプローチが必 要である。この講義のねらいは、さまざまな分野での脳研究の現状を理解し、脳の機能を学ぶだけでなく、われわれが健康 な生活を営むための知識を豊かにしようとするものである。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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脳の構造と働き 脳についての講義を開始するにあたって、脳の構造・発生・ 進化などについて概説する。この講義の序説となる部分であ る。仙波純一 (放送大学教 授) 仙波純一 (放送大学教 授)
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脳における情報伝 達−1 神経細胞内では情報は電気的に伝わる。電気的活動が伝導 される仕組みと、それを担う細胞膜・イオンチャンネル・活 動電位などを学ぶ。神経細胞の電気的活動の総和として現れ る脳波や脳磁図についても言及する。同上同上
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脳における情報伝 達−2 神経細胞から放出される神経伝達物質がレセプターに作用 する化学的情報伝達現象の総和が脳の機能であり、またレセ プターは中枢神経作用薬の作用部位でもある。これら脳機能 の基盤となる化学的情報伝達について学ぶ。 小川紀雄 (岡山大学教 授) 小川紀雄 (岡山大学教 授)
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脳の可塑性 学習や環境などの外的因子によって神経ネットワークが柔 軟に変化することを脳の可塑性といい、ネットワークが固定 されているコンピュータとの根本的な違いである。リハビリ テーションによる脳機能の回復にも不可欠な可塑性について 学ぶ。 同上同上
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脳の血液循環と 栄養 脳の活動は血液からの酸素やブドウ糖などの栄養によって 支えられている。脳の血流は精緻な仕組みで調整されている。 最近脳の血流は脳画像解析によって定量化できるようにな り、脳の活動の指標としても使われている。仙波純一仙波純一
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知覚と認知 ヒトの大脳は外界から様々な感覚情報を受容しているが、 意識にのぼり認知されるものと、意識されずに終わるものと がある。意識にのぼる感覚情報の受容は知覚と呼ばれる。こ の章では、大脳における様々な知覚のメカニズムにつき学ぶ。 岩田誠 (東京女子医 科大学教授) 岩田誠 (東京女子医 科大学教授)
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記憶と学習 記憶は事柄や事実を覚える陳述的(宣言的)記憶と、技術 や方法を覚える手続き的記憶の2種類に分けられる。個人な らびに社会の知的財産の維持発展を支える重要な高次機能で ある記憶・学習機能ついて学ぶ。小川紀雄小川紀雄 - 2 - 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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遺伝子と知能・行 動・性格 特定の遺伝子を働かなくさせたノックアウト動物などで行 動の変化が観察されることから、ヒトのいろいろな行動にも 遺伝的な要素があることは否定できない。最近の遺伝研究か らは、以前のような単純な「氏か育ちか」というような対立 的な考えではなく、どちらがどれくらいどのように影響を与 えているのかということに視点が移っている。ここではヒト の知能、行動や性格などについての最近の遺伝子研究を紹介 する。 仙波純一仙波純一
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脳と運動機能 運動機能には自分の意志で行う随意運動と、無意識的に行 われる不随意運動の2種類があり、運動が円滑に行われるた めには両者の協調が必要である。これら2種類の運動の機序 とそれらの障害について学ぶ。小川紀雄小川紀雄
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情動と行動 情動や感情はヒトの行動に大きな影響を与える。不安や恐 怖もこの情動に含まれる。この章では主に不安について、そ の仕組みや身体との関連について学ぶ。 仙波純一仙波純一
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脳の外傷・腫瘍・血 管障害 脳神経外科は手術により脳の各種病変を治療しており、20 世紀後半に著しく進歩した領域である。ここでは脳の外傷、 脳腫瘍、もやもや病や脳動脈瘤などを例として現在の脳神経 外科治療の現況を概説するとともに、遺伝子診断や治療など 最新のトピックスについても解説する。 山田和雄 (名古屋市立 大学教授) 山田和雄 (名古屋市立 大学教授)
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脳の分子生物学 脳の疾患のうちには、遺伝的要因が関与する疾患が数多く 存在している。最近の分子生物学の進歩から、このような疾 患の病態や発症への理解が進んでいる。ここでは、遺伝子レ ベルで脳を理解する。 辻省次 (東京大学教 授) 辻省次 (東京大学教 授)
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脳の老化 加齢に伴って神経細胞の数は減少し、老廃物が神経細胞に 沈着物し、神経伝達物質やレセプター、脳血流や脳の代謝機 能が減少し、脳の機能もゆっくりと変化してくる。高齢化社 会に備えて老化脳の特徴を学ぶ。 小川紀雄小川紀雄
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脳と薬 脳に働く薬は、治療薬として働く一方、乱用されることも ある。脳に働く薬の作用機序や治療目的などについて学ぶ。 仙波純一仙波純一
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脳研究の将来 脳研究には長い歴史があり、最近の科学技術の進歩により、 一段と脳の理解が増した。一方で、心とは何か、脳移植は可 能か、コンピュータは脳を越えられるかなどの課題が生まれ ている。この章では、これらの問題について考えていく。 小川紀雄 仙波純一 小川紀雄 仙波純一