HOME 2004/11/05 1869213.doc 1 = 数理モデルとカオス(‘05)=( TV 〔主任講師: 丹羽敏雄( 津田塾大学教授)〕 〔主任講師: 長岡亮介(放送大学教授)〕 全体のねらい 数理的概念や方法を用いて、自然や社会などに見られる現象を理想化して得られるモデルを数理モデル という。本講座のねらいは、 (1)この数理モデルの考え方の基礎を歴史的な展開も考慮しつつ調べること、及び (2)そのモデルを数学的方法やコンピュータなどを用いて解析すること、及び (3)数理モデルの有用性とその限界を理解することを目的とする。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
数理モデルとは 何か: 数理モデルは、主として自然界の対象の数理的な側面を 数学その他の数理的言語によってその本質を捉えモデ ル化する。ここでは、歴史的にも最も古く完成された数 理モデルであるプトレマイオス・モデルを例に取り、数 理モデルとは何かを考える。 丹羽敏雄 (津田塾大 学教授) 長岡亮介 (放送大学 教授) 丹羽敏雄 (津田塾大 学教授)
2 プトレマイオス の天体運行モデ ル: 数理モデルの典型でもあるプトレマイオスの惑星運行 モデルは、離心円や周転円とその上の一様な回転という 幾何学的な装置によって、複雑な惑星の運行をモデル化 する。その基礎には三角関数の理論がある。ここでは、 それらを簡単に紹介する。 同上 丹羽敏雄 長岡亮介 (放送大学 教授)
3 運動の力学モデ ル: 近代の数理モデルの主力は微分積分を用いる解析学的 なモデルである。ここでは、こうしたモデルの出発点に もなった、ガリレイの落体運動のモデルと、ニュートン 力学を基礎にする振動現象を取り上げる。 同上 長岡亮介
4 万有引力の法則 と2体問題: ニュートンによる万有引力の法則と運動方程式の発見 と、それによる惑星の運動に対するケプラーの法則の証 明は、近代の機械的な自然観を確立に大きく寄与した。 ここでは、力学的モデルの例として2体問題を取り上 げ、そのエッセンスを紹介する。 同上同上
5 多体問題とカオ ス: ニュートン力学の範囲内においても、惑星の運動を完全 に調べようとすると大きな困難にぶつかる。3 体問題が その典型である。ポアンカレに始まる現代の惑星運行理 論はそこにカオスが内在することを発見した。ここで は、そのあらましを紹介する。 同上 丹羽敏雄 長岡亮介 2004/11/05 1869213.doc 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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数理モデルと力 学系: 現代の数理モデルの中で最も強力な方法は力学系の方 法である。ここでは、その基本的な概念と、その解析に 最も有効な不動点の概念とその周りの線形化について 紹介する。 丹羽敏雄 長岡亮介 丹羽敏雄 長岡亮介
7 分岐現象: モデルの力学系に、そのモデルの「環境」を表すパラメ ータが存在するとき、そのパラメータの変化に伴って、 分岐現象という極めて興味深い現象が現れる。ここで は、この分岐現象の最も基礎的な事柄について解説す る。 同上同上
8 ローレンツモデ ルとカオス: 現代の数理モデルにとってコンピュータは欠くことの できない道具である。ローレンツは気象現象をモデル化 したローレンツモデルを、コンピュータを用いて研究す る中で、一種の「予測不能性」を意味するカオスに遭遇 した。ここでは、そのエッセンスを紹介する。これは分 岐現象の1つでもある。 同上同上
9 エルゴード問題 と確率論的モデ ル: 原子論をもとにマクロ世界の現象を調べようとするも のに、統計物理学がある。 その数学的な基礎付けは今に至るも未解決の問題を含 んでいる。その典型がエルゴード仮説の「証明」である。 それに対する数学の努力の最高峰の1 つがシナイのビ リヤードモデルである。ここでは、そのモデルと、関連 するパイコネ変換を中心に紹介する。 同上 長岡亮介
10 ランダムウォー クと拡散モデル: 様々な現象に対する確率論的なモデルの基礎になるの がランダムウォークの概念である。ここでは、その概念 と、それに関わる確率論の中心的な定理でもある中心極 限定理と拡散について説明する。 同上同上
11 人口動態モデル: 人口動態を初めてモデル化したのはマルサスである。こ こでは、そのモデルの改良であるロジスティックモデル と害虫の大発生をモデル化したものを中心に、生態学に おける基礎的なモデルを説明する。 同上 丹羽敏雄 長岡亮介
12 ヴォルテラとメ イの数理生態学 モデル: 数理生態学の出発点にもなった、ヴォルテラの捕食者? 被捕食者モデルと競争モデル、および、離散的なモデル であるメイのモデルを中心に紹介する。後者はカオス理 論の隆盛のきっかけとなった理論である。 同上同上 2004/11/05 1869213.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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チューリングモ デル: 「生命」は機械的プロセスとして理解可能かを問うたの がチューリングである。ここでは、そのチューリングモ デルと、そこから発展した反応拡散モデルを中心に紹介 する。後者は生物の体表模様など、より複雑な現象を数 理化しようとする際の基礎となっている。 丹羽敏雄 長岡亮介 丹羽敏雄 長岡亮介
14 生命の形態と射 影幾何学: 巻貝の数学的な構造はよく知られているが、それを含 み、卵の形も非常に厳密に、射影幾何学を通して理解す ることが可能であることをローレンス・エドワードは明 らかにした。ここでは、こうした非常にユニークな幾何 学的アプローチを紹介する。 同上同上
15 数理モデルとコ ンピュータ: ここでは、最後のまとめとして、数理モデルの性格につ いて考察を加えると共に、その解析に不可欠なコンピュ ータ使用にまつわる問題について考える。また、セル・ オートマトンなど、これまで触れられなかった新しい概 念についても調べる。 同上同上