HOME 2004/11/08 1230719.doc 科目名宇宙とその歴史(’04) 1/2 = 宇宙とその歴史(‘04)=( TV 〔主任講師: 杉本大一郎( 放送大学教授)〕 〔主任講師: 吉岡一男(放送大学助教授)〕 全体のねらい 宇宙がどのように始まり、その中に天体が生まれ、天体や宇宙がどのように進化して現在われわれが見る物質世界が形成 されたかが、中心的テーマである。その進化は物理法則に支配されて起こったものであり、実証的自然科学の対象として論 じなければならない。この講義は自然科学の予備知識なしでも理解出来るようにするために、宇宙の始まりから現在までの 時間的経過に沿ってではなく、理解のしやすさの順序に沿って話を展開する。この講義では、具体的な個々の天体の現象に ついての解説よりも、そのようなことを探求することの意義と科学上の意味について考える。個々の天体や現象に関する最 新の詳しい情報については、対応する専門科目の講義を参照されたい。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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地動説がもたらし た科学 天動説でも惑星の運行は十分に正しく記述できた。それで はコペルニクスからニュートンに至る地動説がもたらしたも のは何か。それは天体(惑星)が有限の距離に存在する実体 だということである。この天文学への距離概念の導入は、ニ ュートンによる万有引力の発見と近代科学への道を開いた。 地上の力学法則と天上の法則が統一されたとも言える。 杉本大一郎 (放送大学教 授) 杉本大一郎 (放送大学教 授)

 

1:天動説でも位置は予測できる。

2:天動説では、星は単なる点であるから、大きさの概念がない。

問題は惑星が逆行して見えること。これは人を惑わした。故に惑星と呼ばれる。

 

プトレマイオス

相似的にスケールを変換しただけだから、見える方向は変わらない。では、それぞれの起動のスケールはどう決めるのか

 

P+Eの距離は、E+Pの距離と同じである。 単に数学的変換以上の意味があるのか?

距離の概念と実体概念の導入 これが本質的な違い。

これが無ければニュートンも万有引力を導けなかっただろう。

コペルニクス+ティコを統一してケプラーの3法則

ケプラーの3法則とガリレオの運動の記述で、ニュートンの運動の3法則と万有引力の法則となる。

 

リンゴは落ちるの見だだけか?
万物は引き合うとだけでなく、「距離の2乗に反比例する」というところまで導き出した。リンゴをみていただけではなく、それを月などと同質に並べたのが、当時の思考枠を飛び越える偉業だった。

 

 

   

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宇宙の広がりと 天体の階層構造 遠くの天体までの距離が測られるようになって、宇宙の天 体は階層構造をなして存在することが分かった。それらは、 小さいほうから言うと、惑星・恒星・星団・銀河・銀河団・ 超銀河団・宇宙である。それらの間には、銀河系内のガス雲、 銀河間ガスが瀰漫している。 同上同上
     

 

     
     

 

     
     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

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宇宙の物質 分光学の進歩によって、原子の種類を観測的に決めること が出来るようになった。こうして天上の物質と地上の物質は 同じものであることが分かった。さらに恒星の大気内で光の スペクトル吸収線などが形成される様子の研究から、宇宙に おける各元素の存在量が定量的に分かるようになった。こう して天上の物質と地上の物質も統一された。 同上同上
     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

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宇宙からの情報の 取得 宇宙の構造やそれぞれの天体についての情報は、それらか らの光、赤外線、電波、X 線などの電磁波によってもたらさ れる。それらを受けてどのようにして情報を解読することが 出来るかについて、基本法則に戻って論ずる。 吉岡一男 (放送大学助 教授) 吉岡一男 (放送大学助 教授)
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星はなぜ光る 殆どの恒星の中心部では原子核反応が起こっており、それ によって解放されるエネルギーによって恒星は光り続ける。 そのことは恒星の内部構造論と原子核物理学とを結合するこ とによって解明された。 杉本大一郎杉本大一郎
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進化する恒星 恒星のもつ原子核エネルギーは有限だから、恒星は有限の 寿命を持つことになる。その寿命は殆どの恒星では宇宙の年 齢よりも短いから、恒星は常に誕生し、進化して、死んでい くことになる。恒星の内部で原子核反応が起こると、元素は 異なる種類のものに転換される。こうして、宇宙における元 素の起源が説明され、物質世界の歴史が元素のレベルから天 体のレベルまで解明される。 同上同上
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銀河の世界 星団の中の恒星と個々の恒星が千億個ほど集まって1 つの 銀河を構成する。宇宙の歴史においては、宇宙の中で銀河が 誕生し、銀河の内部でそのような星団と恒星が誕生した。銀 河どうしが衝突して合体したり、星が爆発的に誕生したり、 巨大ブラックホールが形成されたりして、銀河は進化した。 そして激しい活動をする銀河も観測される。 同上同上 2004/11/08 1230719.doc 科目名宇宙とその歴史(’04) 2/2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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銀河で探る宇宙の 膨張 遠くの銀河のスペクトルを調べると、銀河はわれわれから の距離に比例する速さで遠ざかっていることが分かる。宇宙 という空間が膨張していて、銀河がその空間に乗っているの である。光の速さで銀河が遠ざかるところが、宇宙の果てに 対応する。 杉本大一郎杉本大一郎
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宇宙と相対性理論 宇宙全体というか、大局的な宇宙を論ずる物理学は一般相 対性理論である。それによって、光の速さに近い運動や、重 力(万有引力)による空間の曲がりとそこを伝播する光など を論ずることができる。こうして、無限に広がっているかの ごとくに思われる宇宙全体も、きちんとした物理学の形式に のせて取扱うことができる。 同上同上
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宇宙の始まりと進 化 宇宙が膨張しているのなら、それを過去に向かって遡れば、 宇宙の物質=エネルギーが狭い空間に閉じ込められていた時 代、すなわち宇宙の始まりの時期があったはずである。その ような時期の存在は、どのようにして実証科学の対象として 論ずることができるのであろうか。宇宙背景放射や宇宙の大 規模構造と関連させて考える。 同上同上
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光と赤外線による 宇宙の観測 前回までに述べた宇宙の構造と進化は、観測と物理法則に 基づいて論じられる。光と赤外線による観測は精密な情報を 与え、すべての観測の基本となるだけでなく、豊富な情報を 与える。現代の精密科学的観測の到達点を見る。 吉岡一男吉岡一男
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電波による宇宙の 観測 電波で観測すると、天体は光で見たのとは異なる側面を見 せる。それは宇宙の低温の部分であったり、逆に高エネルギ ー電子の関わる激しく活動する部分であったりする。電波干 渉計の方法によって、光による観測を凌駕する高分解能が達 成され、宇宙の果てに近い銀河の構造も分かる。 同上同上
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X線やガンマ線に よる宇宙の観測 X線で観測すると、天体の100 万度を超える超高温の現象 が観測される。そのような超高温は中性子星やブラックホー ルなど、重力が一般相対性理論で扱わなければならないほど 極めて強い天体と共にある。また超銀河団の空間にある高温 ガスも観測され、宇宙論にもつながる。 同上同上
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電磁波以外の手段 による宇宙の観測 宇宙の観測は、電波からガンマ線までの電磁波によるもの 以外の手段を用いてもなされている。たとえば宇宙線は、陽 子等の素粒子が、超新星残骸や活動銀河核などで高エネルギ ーに加速されたものである。また、透過力の強いニュートリ ノは、太陽や超新星の中心部の情報を直接与えてくれる。ま だ検出されてはいないが、さらに透過力の強い重力波は、宇 宙の奥深くの情報を与えてくれるものと期待されている。 同上同上
空気シャワー AGASA
宇宙線観測設備

 

 

 

 

 

ニュートリノ振動:質量があると、3つの形のうちどれかに変化する。

太陽ニュートリノ:

電子ニュートリノだけの検出器。カミオカンデの観測地が大きいので、ミューやタウを検出してるとわかった。

失われた、ニュートリノの謎がとけた

 

重力波

LIGO

空間のゆがみが波として伝わったもの。

宇宙がどうなっているか観測に利用

腕のながさ4キロ

 

TAMA300
300m なぜ急激に温度が上がるのか?表面温度よりコロナは高い

 

質量放出 日本:SOLAR−B
コロナ加熱の謎がとけるかも

15 天文学の理論 天文学では物理パラメターが実験室の範囲を大きく超えた 極限的な状況が現れるので、理論の果たす役割は大きい。そ こで重要なのは、自分自身の重力による非線形相互作用で、 それによって天体の形態や構造が自発的に形成され、進化と いう現象が起こる。天文学の範囲内では、相互作用が重力(万 有引力)という数学的に単純な数式で記述されるので、そのよ うなシステムでも、コンピュータを用いて定量的に解くこと ができる。このような視点は、より複雑な非線形システムへ と理解を進めていくための模範になりうるであろう。 杉本大一郎杉本大一郎