HOME 2004/11/08 1543024.doc 1 =エネルギー工学と社会(‘03)=(TV 〔主任講師: 内山洋司(筑波大学教授)〕

全体のねらい 産業活動と人々の生活を支えているエネルギー。私たちは、普段、エネルギーを空気や水のように無意識に使っている。 世界のエネルギー消費は20 世紀に入って急増し、過去100 年間で15 倍以上にまで増大している。そのエネルギーの大半 は化石燃料で供給されており、将来の資源枯渇と燃焼による大気汚染や地球温暖化が懸念されている。増加の勢いが止ま らない経済発展と世界人口、21 世紀の世界が持続可能な発展を遂げていくには、原子力や再生可能エネルギーといった代 替エネルギーの開発、それにエネルギーの供給と消費において無駄のない工夫が求められている。本講義は、エネルギー に関心のある人々を対象にエネルギー工学の立場から社会のエネルギー問題について理解を深めてもらうことを目的とし ている。

 回 テーマ 内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)


1 人類と エネルギー:

エネルギーは、社会の産業活動と人々の生活に不可欠とな っている。産業革命以降の経済発展はエネルギーの大量消費 に依存している。21 世紀は開発途上国の経済発展と人口増加 が予想されており、「経済発展」、「エネルギー安定供給」、 「環境保全」の関係は一方を立てれば他方が立たないジレン マが重なったトリレンマの状態にある。ここでは人類がエネ ルギーをどのように利用して社会を発展してきたか、エネル ギーの歴史について述べる。また増加し続けるエネルギー消 費によって現代社会が直面しているトリレンマ問題につい て解説する。 内山洋司 (筑波大学教 授) 内山洋司 (筑波大学教 授)


2 社会の エネルギー消費:

エネルギーは現代社会の物質的豊かさと快適さを維持す る源となっている。機械化、自動化、情報化など省力化が進 む工場や事務所、車、ジェット機など高速化が進む輸送機関、 冷蔵庫、エアコン、テレビなど電気製品の普及・・・。現代 社会の発展のほとんどが、エネルギーに依存している。今日 の経済活動は、こういった技術や製品の進歩によって営まれ ており、経済の発展は社会のエネルギー消費の増大につなが っている。ここでは私たちの生活の身近なところでエネルギ ーがどのように使われているか、そしてわが国のエネルギー 消費の実態について説明する。 同上同上

日本が消費している全エネルギーは世界の6%。一人あたり12.9リットル。毎日の食品エネルギーの60倍もエネルギーを消費している。

   

エネルギーをカロリーで 表さない。(食品を除く)  
商品生産に必要なエネルギー消費量  

日本人の飽食:一年1.2億トン 一日2.6KG

農業へのエネルギー投入のうち、米、麦、馬鈴薯への化学肥料と光熱動力へのエネルギーは全体の50%−60%になる。

緑の列:ぶどうとみかんのハウスが18倍ー44倍多い。ハウスのブドウは1KG=石油5リットル

ピンクの列:農作物の保持しているエネルギーとの比較

養殖はやはりエネルギーの無駄。 輸入牛は放牧だからエネルギー少ないな。

 

   

短い時間で作れるようになったが、大量にエネルギーを使う 上は線路などの建造物を含んでいない。 首都圏4人家族の場合。家族4人で214GJ

住生活は家電、車、風呂。

作るエネルギーは少ないが、利用時の消費が多い。

利用時の省エネは有効。

各国の一人あたりでみたGDPとエネルギー消費  

  73年の第一次オイルショックのところで最終エネルギー消費は落ち込み。85年石油価格が暴落。(やがてバブルへ) 
日本

弾性値

 

産業部門はオイルショックで谷がある。情報産業への転換もある。99年産業49% 民生26% 運輸25%  
   

   
   

   

3 エネルギー消費構 造と省エネルギー:

第2回目の講義に引き続き、わが国のエネルギー消費構造 を産業、民生、運輸の部門について詳しく解説する。省エネ ルギー社会の構築には、省エネ型の社会基盤施設の整備、高 効率機器の普及、そして人々のライフスタイルへ変化が必要 になる。産業、運輸、民生の各部門でどのような省エネルギ ー対策があるのか、またその達成の可能性について検討す る。 同上同上

 

エネルギーバランス表(簡略)

 

  本物は縦45x横40とこまかい

マイナスはエネルギーを生産するのに投入されたエネルギー

一次の22396と15729をくらべて30%のロスがある。

電力は効率が40%、つまり60%が無駄になっている。

毎年発行されている。

 

輸入依存度にウランは入っていない。もしいれたら90%を越える。

   

   
   

   
   

 家庭はゼンゼン改善ないね。核家族化 一人当たりでわらないと意味ない
   

   

 需要抑制とは、建物の断熱率を高めるとか どこから逃げるか?

木は夏は光をさえぎり、冬は葉が落ち光を入れる。

トップランナー方式 グリーン購入法

グリーンコンシューマはいなかった

http://www.phila-ken.co.jp/old_cuore/02/01_gunjima.htm

   

  
行政の支援が大事  

4 エネルギー供給の 基本要件:

年々増加し続けている世界のエネルギー消費。ここでは、 石油、天然ガス、石炭について世界のエネルギー消費動向を 調べ、生産と貿易の現状を理解する。また、日本のエネルギ ー供給の実態と石油供給問題について解説する。さらに化石 燃料、原子力、再生可能エネルギーについて、エネルギーの 基本要件である「入手しやすさ」、「使いやすさ」、「受入 れやすさ」からそれぞれの特徴を述べる。 同上同上 2004/11/08 1543024.doc 2 回 テーマ 内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)


5 エネルギー資源:

資源分類と化石燃 料: エネルギーは資源面から化石燃料、核燃料、再生可能エネ ルギーに大別できる。化石燃料と核燃料は枯渇性資源である が、再生可能エネルギーは非枯渇性資源である。エネルギー 資源の中で、化石燃料は現在、主要なエネルギー供給源とな っており、その資源の分布や埋蔵量、あるいは可採年数など を理解することが大切である。ここでは、エネルギー資源の 分類方法を説明するとともに、枯渇性資源である化石燃料の 埋蔵量と枯渇問題について解説する。 内山洋司内山洋司


6 エネルギー資源:

再生可能エネルギ ーと原子力: 地球は太陽が発しているエネルギーのわずか22 億分の1 を受けているにすぎないが、そのエネルギー量は現在、世界 が消費しているエネルギー消費量の約1万倍にもなる。太陽 エネルギーは、水力、風力、太陽光などの形でエネルギー源 として利用されているがその利用量はまだわずかである。一 方で、太陽エネルギーを地上で自ら造りだそうと、核反応を 制御する原子力技術が開発されている。ここでは、再生可能 エネルギーと核融合を含めた原子力についてそれぞれの特 徴と資源量を述べる。 同上同上

   

1353ワット/M2 入射している。 太陽エネルギーは、そのように地球で転換されるか?

地表にとどくエネルギーは、化石燃料の一万倍。日本は日射量少ない。

 

理論的包蔵水力:落差を全て使えたら。40.5PWh世界の発電量の2.8倍。現在水力の15倍

技術的包蔵水力:環境問題の制約から本当に使えそうな可能性

経済的包蔵水力:火力にくらべて経済的な量の可能性。

8.1PWhある(世界の総発電量の56%を供給できる可能性)

発電量:現在2.6PWh

しかし、山を破壊する。水は工業用なと用途が多様。

   

全世界で潜在量500PWh(理論包蔵水力の10倍) 7400EJ 世界潜在エネルギーとして20倍 温度差7200EJ しかし希薄。

 

潜在エネルギーは65万EJ 世界のエネルギー消費の1700倍。

経済性では、40−50年の間に採算がある資源は5000EJ

10年ー20年の間で500EJ

   

開発途上国では、多く、干ばつ材、糞などで世界の10% CO2を固定するには、ピークで伐採して、植樹するのがいい。 
   

利用可能なものは300EJで世界エネルギー需要の85%を供給できる 日本の全森林を利用すると わが国の26%のエネルギーを使える。

実際には、干ばつと下草しか使えない。

廃棄物からは、MAX3.7%

ウラン:海水の中にもあり総量45億トンある。

トリウム:地殻中にウランの3.7倍あり、多くは花崗岩にふくまれる。

   

採算がとれる資源

化石燃料にとぼしいアジアはウランではもっとも恵まれている。

238もつ変えれば、

60倍ー80倍

海水からとって、さらにプルトニウムに持って行けばほぼ無限

もっとも重いウランの変わりにもっとも軽い水素原子核

D=重水素

T=3重水素(トリチウム)

+ヘイウムが一番反応しやすい

原子の電子を剥ぎ取りプラズマという状態にする。

裸の原子核同士をクーロン反応を越えてくっつける為、高い温度が必要。密度も。保温時間もいる

臨界にもって

 

   

 
 一億度をどうやって1秒以上閉じ込めるのか?

電磁線のかごで閉じ込める。

プラズマの慣性を使う

 

7 エネルギー変換と システム分析:

エネルギー資源の多くは、熱、動力、電気など二次エネルギ ーに変換して利用されている。ここでは、エネルギー変換の 基礎的な物理法則と熱力学を学び、各種熱機関の熱サイクル と熱効率の求め方を理解する。また、エネルギー生産技術で ある発電技術について、設備の建設と維持保守に投入される エネルギー量と生産されるエネルギー量を比較するエネル ギー収支分析について説明する。 同上同上

   
   
   理論動力
 作動流体 
熱力学の第一法則 エントロピーカルノーサイクル
   
  

オットーサイクル

  理論上50%、実際20%

ブレイトンサイクル(単純ガスタービンサイクル)

 

ランキンサイクル(蒸気サイクル)

   
   

   
   

  
   

8 化石燃料技術:

世界のエネルギー消費補の約9割は石炭、石油、天然ガスな どの化石燃料によって供給されている。ここでは、化石燃料 の変換・転換技術について、特徴と開発動向を説明する。ま た、脱硫、脱硝など環境対策技術について解説し、エネルギ ー効率の向上を図る具体的な技術開発について展望する。 同上同上

 気体燃料

 液体燃料 固体燃料

   
発熱量 TS線図燃料消費量の計算
   

熱効率の向上

熱効率の推移 
   
  PFBC方式 
  熱効率が高く42%、環境負荷が低い  石炭煤 セメント原料に
石炭ガス複合発電 SOx、NOx排出量の比較脱硫装置
灰は、ガラス材になる。  
   

  
   

9 原子力発電技術:

原子力発電はわが国の電力量の約3割を供給する主要電源 である。ここでは、最初に核分裂について簡単な基本原理を 学ぶ。軽水炉、高温ガス炉、高速増殖炉など各種原子力発電 技術を紹介し、原子力発電の安全対策がどのように行われて いるかを説明する。また、社会における様々なリスクについ て調べ、リスク評価やリスクコミュニケーションのあり方に ついて考えてみる。 同上同上

   

   
   

   
   

 石炭240万トン=ウラン984kg 沸騰水型と加圧水型が2つある。52基
 

高速増殖炉

 

一秒に80トンの海水で冷やす 60倍31名死亡、重傷者200名以上

 

   
   
   

10 核燃料サイクルと 放射線: 天然ウランの99.3%を占めるウラン(238)を有効に使ってい くためにはプルトニウムの利用が不可欠となる。ここではプ ルトニウムを有効に使うための再処理技術を含めて核燃料 サイクルの仕組みと開発動向について解説する。また放射線 とその取り扱い方法についても解説する。 同上同上


11 再生可能エネルギ ー技術: 環境問題から太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど再 生可能エネルギーの利用に関心が高まっている。ここでは、 再生可能エネルギーの発電技術について、技術特性と開発状 況、それに普及方策と将来の展望を解説する。 同上同上 2004/11/08 1543024.doc 3 回 テーマ 内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)


12 エネルギー輸送と 貯蔵:

石炭、石油、ガス、電気、熱といったエネルギーについて輸 送と貯蔵の役割を考えてみる。電力貯蔵については、揚水発 電、圧縮空気貯蔵、蓄電池、フライホイール、超電導の特徴 と開発動向を説明するとともに、貯蔵効率や経済性について 解説する。 内山洋司内山洋司

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本は、蓄電池に比べると100分の1だが、ローコストで

 

 

 

 

 

 


13 分散型技術の役割:

物質的に成熟化段階に入った先進国においては、将来、エネ ルギー需要が大きく伸びていくことは考えられない。エネル ギー供給において「規模の経済」から「範囲の経済」へ移行 することで、新たなエネルギー産業の創出が望まれている。 分散型技術は、新産業の創出に役立つ新技術としてその普及 が期待されている。ここでは分散型技術についてその種類と 特徴を紹介し、どのような導入方法が望ましいかについて解 説する。 同上同上

 

 

 

 

 

 

 

   

大型の方が効率がいいが、いずれは分散も

もっとも普及している、コージェネレーション

 
   

 セラミックタービンができれば、もっと高まる ロケットのジュミニに採用されたのがはじめて。

水の電気分解の逆

   

   
   

   
   

 
   

14 地球環境問題と温 暖化対策: 化石燃料の大量消費によって二酸化炭素の排出量が増大し、 地球温暖化が問題となっている。ここでは、地球温暖化の現 象と、その防止に向けて制定された京都議定書と京都メカニ ズムについて解説する。また政府の温暖化対策やライフサイ クル分析から対策技術のあり方について説明する。 同上同上


15 エネルギーと持続 可能な発展: 21世紀は、開発途上国、特にアジア地域の経済成長と人口 増加によってエネルギー消費が急増すると予測されている。 世界のエネルギー消費の増加によって、酸性雨や温暖化など 地球環境問題が深刻になっていくことが懸念されている。こ こでは、世界のエネルギー需給を展望し、世界が「経済成長」、 「エネルギーセキュリティ」、「環境保全」を同時に達成し ていくには、今後どのような対策が必要になるのか、日本が 果たす役割は何かについて考えてみる。 同上同上