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2004/11/10 8930171.doc 環境工学(03) - 1 -

=環境工学(‘03)=(TV)

〔主任講師: 鈴木 基之(放送大学教授)〕

全体のねらい

環境工学は、環境問題の解決手法開発の学問である。環境問題そのものは、過去半世

紀の間に大きく変化し、従ってその

問題の解決のための哲学も変化している。工学は単なる個別の技術開発ではなく、将

来ビジョンに基づく統合的なシステム

確立を念頭において、そのために科学技術を総動員することが求められる。地球上の

限られた資源の量、限られた自然環境

の恩恵という制限の中で、ますます人間活動が増大していくことが予想されている現

在、人類がの活動を持続していくため

に何が必要とされるのか、何が可能なのかが今問われており、この答えを見出すため

の「考え方」を学ぶことが重要である。

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


1 環境問題の発生

過去50 年位の間人間活動の拡大・活性化によってそれを取

り巻く自然環境との間に相克が生じてきた。すなわち、人間

活動による環境の劣化が生じ、これが人間の生存そのものに

制約を与えることとなった。環境問題の発生、変化を概括し、

その解決のために工学がどのようにかかわっていくことにな

るのかを考えてみよう。

鈴木 基之

(放送大学教

授)

鈴木 基之

(放送大学教

授)

2 物質収支と速度論

生産活動、人間活動から環境に影響を与える物質はどのよ

うに派生するのか、環境中に流出した物質はどのような挙動

をとるのかなどを定量的に理解するうえで基本となる物質収

支の考え方、変化の速度論などについて基本的な考え方を概

説する。特に窒素の環境を例にとって色々な形の変化を見て

みよう。

同 上 同 上


3

有害物質対策・生活

環境保全・自然環境

保全

環境変化の影響は色々な面から考察される必要がある。人

間活動から派生する物質が及ぼす人体健康への直接的な影

響、自然生態系への影響等様々な形の悪影響の可能性(リス

ク)をどのように考え、評価するのかを考えてみよう。

同 上

鈴木 基之

ゲスト

中西 準子

(独立行政法

人産業技術総

合研究所化学

物質リスク管

理研究センタ

ー長)


4 処理技術概論(1)

上水処理

水環境の劣化に伴い安全な飲料水確保のために種々の技術

が用いられる。色々な飲料水の問題を概説するとともに、我

が国の飲料水処理において生じている水源の劣化、原水の水

質汚濁の問題に対応するための水処理技術に関する工学の基

礎を解説し、沖縄の北谷浄水場を例として新しい処理法を紹

介する。

同 上

鈴木 基之

ゲスト

真柄 泰基

(北海道大学

教授)


5

処理技術概論(2)

排水の処理

人間活動から派生する排水を環境中に排出するためには十分

な処理をする必要があるが、特に水域を健全に守るために、

減菌技術の適用も重要である。有害な細菌、ウィルス、原虫

等に対応する処理技術の中で、新しい可能性を有する手法と

して、紫外線処理についての検討を示す。

同 上

鈴木 基之

ゲスト

大垣 真一郎

(東京大学大

学院工学系研

究科教授)

2004/11/10 8930171.doc 環境工学(03) - 2 -

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


6 処理技術概論(3)

排出ガスの浄化

大気を通じて人体、生態系に影響を与える有害物質の存在

も重要である。近年重要となっている室内空気環境の問題と

して、新しい建材などが原因となって生じている室内空気汚

染(シックハウス)に対する工学的な解析等の例を紹介し、

この問題の対応を考えてみよう。

鈴木 基之

鈴木 基之

ゲスト

村上 周三

(慶応大学教

授)


7

処理技術概論(4)

固体廃棄物の取り

扱い

活発化する人間活動から発生する固体廃棄物は、その処分

場の不足や、投棄された廃棄物が生む環境破壊など多面にわ

たる問題を生じている。廃棄物とされるものであっても有価

物質は多く、その例として生物系の廃棄物に関する資源化の

状況と今後の方向を考えよう。

同上

鈴木 基之

ゲスト

迫田 章義

(東京大学生

産技術研究所

教授)


8

システム的考え方

の重要性-統合的な

考え方

環境問題は多くの個別の問題として考えられがちである

が、実はその多くの事柄は色々なルートを通じてお互いに関

連している。廃棄物問題の解決にも、単に人間活動からの廃

棄される物質の問題ではなく、生産プロセスも含んだ地域に

おける総合的物質循環の考え方が必要になる。このようなシ

ステムにおける物流に対する取り組みを紹介する。

同上

鈴木 基之

ゲスト

藤江 幸一

(豊橋科学技

術大学教授)


9 資源化手法

廃棄物を最小にすることは最終的には資源の有効利用を図

ることにつながる。このためには資源生産性という概念など、

色々な新しい考え方が必要となる。世界の資源の利用状況を

概観し循環型社会を構成していくための技術的方策、社会的

方策などについて考えてみよう。

同上

鈴木 基之

ゲスト

山本 良一

(東京大学教

授)


10 地域での循環型社

会の形成

循環型社会を構築していくためには自治体、地域、国など

種々の単位での検討が必要であろう。このような方向での取

り組みの例として屋久島における研究プロジェクトの取り組

みにおいて物質循環を検討している例をみてみよう。またカ

ルンボーにおける工業ネットワークの例も紹介される。

同上

鈴木 基之

ゲスト

藤田 晋輔

(鹿児島大学

教授)


11 環境のモデル化と

モデルの効用

環境という大きなスケールを持ち、種々の単位プロセスが

複雑に絡み合った対象の将来の変化を予見するには、実験な

どという手法は通常取りえず、数理モデルを構築することに

より予測をすることになる。環境のモデル化とはどういうこ

とか、どのようなところに有効性があり、問題があるのかを

考えてみることにしよう。

同上

鈴木 基之

ゲスト

松岡 譲

(京都大学教

授)


12 水循環と地域水資源

地球上の水は海域には大量に存在するがこれは塩水であ

り、太陽エネルギーを受けて蒸発し、降水となって地上に戻

ってくるわずかの水が淡水資源として人間活動、陸上生態系

を支えている。食料生産もその持続性は水資源にかかってい

る。世界的な水危機を迎える今、水問題に工学としてどのよ

うにかかわるのかを考えてみよう。

同上

鈴木 基之

ゲスト

沖 大幹

(総合地球環

境学研究所)

2004/11/10 8930171.doc 環境工学(03) - 3 -

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


13 地球温暖化と工学

の対応

地球温暖化は主として化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素ガ

スの発生により大気の温室効果が増すことにその原因がある

とされている。この温暖化問題に対応する工学の取り組みの

一つの例として、都市の種々の活動におけるエネルギー利用

と、これにより発生する二酸化炭素量をどう考えるのかを見

てみよう。

鈴木 基之

鈴木 基之

ゲスト

花木 啓祐

(東京大学大

学院工学系研

究科教授)


14 干潟など、環境の保

全・利用

自然環境は身近なところを考えても、色々な形で人間活動

の影響を受けて、劣化しておりまた同時に環境浄化という機

能の面で大きな役割を果たしている。自然環境の果たすべき

機能を十分に活かし、かつ保全するためにどのような工学的

な配慮が可能なのかを考えてみよう。ここでは干潟という特

殊・特徴的な生態系の場を例として考えてみよう。

同上

鈴木 基之

ゲスト

岡田 光正

(広島大学教

授)


15 問題解決型から着

地点誘導型へ

人間活動は全ての面で環境と何らかの相互作用を有してい

る。最終的に人類の活動を持続していく条件としてなにを考

えていく必要があるのか、特に生態系を保全する方向での生

物多様性という考え方を紹介する。また有限な資源と環境の

下で人間活動のあるべき姿を考えていくためにはどのような

パラダイムの変更が必要なのかを考えてみよう。

同上 鈴木 基之