HOME 2004/11/08 1577115.doc 科目名:書誌学(03) 1/2 =書誌学(‘03)=(TV 〔主任講師: 杉浦克己(放送大学助教授)〕 全体のねらい 本邦の、主に古文献資料類を対象とした書誌学として、書籍の形態を持つもののみでなく、広く古典籍類および史料類等 の文献資料一般を扱う。これらを日本語の表記史の観点から整理した上で、取り扱い上の基本的な知識を概説すると共に、 内容を読み解く上での困難の主因を、広い意味での書き表し方の多様性ととらえ、各々の資料の特色を理解することを基本 に置き、資料上に現れた表記者の意図を的確に把握することを大きな手がかりとして、着眼点や分析の手法を実際の資料例 に即して示し、古文献資料類に取り組むことの意義と基本的な姿勢を明らかにすることが本講義のねらいである。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
1 書誌学への扉: 書籍さらには文字書写物一般の歴史の概略を振り返り、そ の多様性の端的な例を示すことで本講義の主なねらいを示す と共に、古文献資料を扱う書誌学の主項目やその意義を概説 し、講義全体への導入とする。 杉浦克己 ( 放送大学 助教授) 杉浦克己 ( 放送大学 助教授)
2 書籍の形状と料紙: 書籍の形状や書函などの付随物についての基本的な事項を 実物例を示して概説する。また料紙の材料や製法とその変遷、 装飾などについて各々の特色を実際例を挙げて概説する。同上同上
3 書籍の取り扱いと 保存・修補: 書籍の取扱いを様々な装丁や付属物について概説する。ま た保存方法や修補の実際例を紹介し、保存と利用の関係を考 えることで閲覧の際の注意事項を併せて概説する。同上同上
4 平仮名の読み方 (1): 平仮名の発生・発達を概説し、いわゆる異体仮名の読み方 について、主に版本の平仮名文の実例を用いて、類型的な字 形・字体の平仮名の読み方を概説する。同上同上
5 平仮名の読み方 (2): 主に古筆和歌資料や散文古写本の実例を用いて、字母漢字 を考えながら読むことによって、いわゆる異体仮名をある程 度読みこなす方法を概説する。同上同上
6 平仮名文の読み方: 主に漢字仮名交じりの古筆和歌資料や散文古写本の実例を 用いて、平仮名文・漢字仮名交じり文の表記方法としての特 色を考え、文章の内容や前後関係等も考慮した上での平仮名 文の読み方を概説する。 同上同上
7 漢字の読み方(1): 主に行書の版本資料の実例を用いて、類型的な字形・字体 を部首などによって整理して把握することで個々の文字を読 みとるための参考とするための要点を概説する。同上同上 2004/11/08 1577115.doc 科目名:書誌学(03) 2/2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
8 漢字の読み方(2): 主に行書の資料の実例を用いて、行・草書が毛筆ではむし ろ一般的な書体であったことを示し、筆跡を辿りながら漢字 を判読するための要点を概説する。 杉浦克己杉浦克己
9 漢文の読み方: 基本的な漢文の句法や助字などの働きを整理して示し、表 記方法としての特色を考え、白文の資料についてもある程度 基本的な文意を把握するための要点を、本邦独自のいわゆる 記録体の性格にも留意しつつ概説する。同上同上
10 訓点資料と片仮名 文: 漢文訓読の歴史を辿り、漢文の訓読の仕方の変遷と基本的 な訓点資料の読み方を概説すると共に、漢文訓読と共に発達 してきた片仮名文の代表例を紹介する。 同上同上
11 書状と文書: 書状の代表的な様式を、仮名・漢文各々の実例を挙げて紹 介すると共に、公式令に挙げられた基本的な文書の様式を、 公文書の実例によって概説し、あらかじめ想定された間での やりとりのための表記方法の特色を考える。同上同上
12 辞書の利用: 古辞書の発達の歴史を、整理して概説すると共に、その性 格を十分に考慮した上で古文献資料の読解に活かすことの重 要性を、実例に即して示す。 同上同上
13 書写の経緯: 古文献資料の書写の経緯を、奥書や周辺資料から辿る実例 を示すと共に、複数の本文を比較検討してあるべき本文を考 える校合の基本的な方法を実例を挙げて概説し、資料の伝来 を考える上での書写者の重要性を示す。同上同上
14 古筆: 古筆資料の実際例を時代やジャンルで整理して挙げ、書風 だけではなく文字や用字法の変遷という観点からも比較対照 して、各々の特色を整理し概説する。 同上同上
15 出版と書籍: 近世頃から盛んになった印刷・出版の歴史を整理概説し、 印刷によって出版業や書籍の流通経路が整備されていった跡 を情報伝達の本質的な変化の観点から辿り、現代につながる 実際例を紹介する。同上同上