宇宙の大きさと年齢
天体の距離を測るのに「天文単位」というのを使うのだが、これは、太陽の周りを回る地球の公転軌道の半径の長さを1とすることになっている。便宜上適当に作った単位ではなく、天体の測量の基準点になるからだ。
 


 
天体の距離の測量方法:公転の直径の右端と左端(つまり地球が公転で半年周期した点)から、観測したい星の角度を測定すれば、三角測量で距離がわかる。
 
測量の限界:この方法では、1万個の天体が測量されているが、測定精度のズレがあって、正確にはかれないことがわかった。
ソフィー>どのぐらい不正確なの?
プラトテレス>角度で0.02秒ぐらいだ。
ソフィー>それで不正確?
プラトテレス>でもそのズレは、距離にして、300光年。1万も測量したのに、使えるデーターは1000個ほどになってしまったんだ。でも1000個が非常に貴重なんだ。
ソフィー>どいうこと?
プラトテレス>距離が判っている1000個の本当の星の明るさと、見かけの星の色とを比較して、それを他の9000個の天体の星の見かけの色に当てはめるんだ。そうすると、約3000光年ぐらいまで、僕らの「モノサシ」は延ばすことができる。「分光視差」っていうんだ。
ソフィー>無限とも思える宇宙じゃ、そのモノサシでも、頼りないわね。
プラトテレス>もっと遠くを測る方法を教えてあげよう。距離がわかっている3000光年までの星を分析していたところ、中に規則正しく明るさを変え、しかもその変光周期と本当の明るさとの間に一定の関係をもつ「変光星」があることに気がついた。代表的なのが、ケフェウス座のデルタ星だ。
そして変光周期の長いものほど本当の明るさが明るいという性質をもっていることにも気がついた。
ソフィー>判った!変光周期さえ判れば、そこでまた本当の明るさと見かけの明るさの「分光視差」を利用して距離がわかるってことね。
プラトテレス>正解、そのとおりだ。これで、僕らのモノサシは一千万光年まで延びた。
ソフィー>もっと遠くは?
プラトテレス>ハッブルの法則がある。
まずハッブルは変光周期で判った18の銀河を近づいてくる光は赤く、遠ざかる光は青いという光のドップラー効果(赤方偏移)を利用して、遠ざかっている速度を測定した。そしてハッブルは遠くの銀河ほど早く遠ざかっているいることを発見した。これが、「ハッブルの法則」だ。1929年発表された。そして遠ざかる速度の比例定数を「ハッブル定数」いう。326万光年あたり50kmから100km
この発見にアインシュタインはいち早く飛びついた。1930年2月にウィルソン山のハッブルを訪問し、それまでの持論の静止宇宙断念をつたえている。1905年が特殊相対性理論、1916年が一般相対性理論の発表だから、その後だね。
そして、相対性理論にこの膨張宇宙とを組み合わせて1946年にビックバン理論が作られる。
ハッブルの法則は実に簡単「銀河の後退速度=ハッブル定数x銀河の距離」という関係がなりたつ。これを逆算すればいいわけだ。これで、僕らのモノサシは50億年ぐらいにひろがった。
実はこの法則で、宇宙の大きさのがわかる。といっても銀河の遠ざかる速度が光の速度に達するまでの宇宙の地平線までだけどね。
光の速度30万km/秒÷ハッブル定数50=6000
6000x326万光年=196億光年 今の通常理論上の宇宙の大きさだ。これは同時に宇宙の年齢だ。
ソフィー>光の速度のより早い部分は?
プラトテレス>宇宙の「外」、まだ宇宙になってないところだ。
 
プラトテレス>そしてこうした観測技術の向上、理論から、今までの宇宙の概念をぶち壊す宇宙のグレート・ウォールとかコスミック・フェンス、などの大規模構造が観測されることになる。
 
*ハッブル定数80〜90
プラトテレス>実は、このハッブル定数にはいろいろ論争があって、30から100の間でウロウロしている。
例えば、1994年2つの天文観測グループが相次いで、最新の観測結果として、ハッブル定数を1メガパーセクあたり、それまでの50としていたのを80〜90であったと報告した。すると宇宙の年齢は?
ソフィー>さっきの計算をしなおせばいいわけね・・・・宇宙の大きさと年齢は、えーと・・・70億年〜90億年になったわ。あれ?銀河の年齢って100億から200億年じゃなかった?
プラトテレス>ビッグバンでは、銀河は宇宙より先に誕生していたことになってしまう。
ソフィー>星の年齢が間違っているんじゃない?
プラトテレス>ところが、1995年最新観測によるM92の年齢は、160億年だ。
ソフィー>どっちかが間違ってる!
プラトテレス>いいや、それだけじゃ指摘不足だよ。正確には、「どっちかが間違っているか、ビッグバン理論が間違っている。」って言うべきだね。
 
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