ヨーダの部屋

老人は馴れ馴れしい態度で彼を困らせるが、ヨーダのところへ案内すると言い、ルークを自分の家へ招く。そこで老人はルークに様々な質問を投げかけ、あたかも以前から彼を知っているかのように話しかけるのだった。やがてルークは我慢の限界に達し、怒りをあらわにする。

仲裁に入ったのはオビ=ワンの声だった。

ルーク: 確かにおいしいよ。でもどうしてすぐにヨーダと会えないのか分からないよ。
ヨーダ: あせるな。ジェダイも同じように食事の時間じゃ。
ヨーダ: 食え。食え。あったまるぞ。うまい飯じゃ。うまい。
ルーク: ヨーダは遠くにいるのかい?時間がかかるのかな?
ヨーダ: 遠くないぞ。ヨーダは近くにおる。あせるな。すぐに会える。
ヨーダ: 草の根っこじゃ。わしが料理した。なぜジェダイになりたいんじゃ?
ルーク: ああ、たぶん父親のせいかな。
ヨーダ: 親父か。強いジェダイじゃったの、あやつはな。強いジェダイじゃった。
ルーク: おい、何言ってるんだ。なんで父さんのことを知ってるんだ?おまえは僕が誰かも知らないんだぞ。僕はいったいここで何をしてるんだ。時間の無駄だ!
ヨーダ: この子を教えることはできん。この子は辛抱が足りない。
オビ=ワン: 辛抱は学ぶでしょう。
ヨーダ: 怒りっぽいの、父親とよく似ておる。
オビ=ワン: 私が教えを受けていたときと違いますか?
ヨーダ: 違うな。この子は準備ができていない。
ルーク: ヨーダ。
ルーク: 準備はできています。僕はジェダイになるんです。ベン、言ってやって。僕は・・・
ヨーダ: 準備ができておると?何の準備がじゃ?わしは800年間ジェダイを訓練してきた。わしの判断で決めるのじゃ、誰を訓練すべきかはな。ジェダイには深い献身と厳格な精神がなければならん。この者を長い間見守ってきたぞ、わしはな。だがこの者は人生を通じて遠い未来を、地平線の彼方を見ておる。自分のいる場所、していることに目が向いておらんのじゃ。冒険。興奮。ジェダイはそんなものを望んではおらん。おまえには思慮が足らんのじゃ。
オビ=ワン: お忘れでなければ、私もそうだったはずです。
ヨーダ: 歳をとりすぎておる。そうじゃ、訓練を始めるには歳をとりすぎておる。
ルーク: しかし既に多くを学びました。
ヨーダ: 始めたことを終わらせられるのか?
ルーク: 失望はさせません。恐れもしません。
ヨーダ: 失望させ、怖がるじゃろうて。

#P117ルークがスリルと冒険をもとめていることをヨーダは見抜きます。ヨーダは欲望を否定しますが、クワイ=ガンなら、求める気持ちを受け止めて、注意深さでくるむでしょう。無理になくそうとすると「そうでなかったら欲望」に取りつかれるからです。欲望は青い空の雲のように流れるに任せておけばいいのです。たとえば、「私は強欲だ」というのはまちがった見解で、苦しみを産みます。強欲はたんに強欲で、心がある状態になったときに現れてくる心の形にすぎず、わたしたちの価値とは、全く無関係です。

欲望が生まれたとき、それをただ欲望として受け止め認め、観察すると、やがてそれが消えていくのがわかります。欲望から自由になるには、欲望をそのままにしておいて、自然に消えるのを観察すればいいのです。これが真の解放です。

この老人こそが旧共和国のジェダイ・マスター・ヨーダだったのだ。ルークは彼に入門の許可を求め、オビ=ワンも同意を告げる。ヨーダはルークが今ある現実を見ず、未来ばかりを見つめていることに渋りながらも、銀河に光をもたらす希望を求めて、この若きジェダイを弟子とするのだった。

 

 

 

 

ヨーダ: そうじゃ、走れ。そうじゃ。ジェダイの力はフォースからあふれてくる。じゃが、ダークサイドに用心しろ。怒り、恐れ、攻撃。これらがフォースのダークサイドじゃ。これらは容易に沸いてくる。すぐにおまえを戦いに加えるのじゃ。一度暗黒の道にはまったら永遠に支配されてしまうぞ、おまえの運命はな。おまえを蝕むのじゃ。かつてのオビ=ワンの弟子のようにな。
ルーク: ヴェイダーですね。ダークサイドのほうが強いのですか?
ヨーダ: いや、そうではない。手軽で簡単で誘惑されやすいのじゃ。
ルーク: 善と悪をどう区別したらいいんですか?
ヨーダ: 冷静で穏やかで受身でいれば分かる。ジェダイは知識を得るためにフォースを使うのじゃ。攻撃のためではない。
ルーク: しかしなぜ・・・
ヨーダ: だめじゃ。理由は聞くな。ここまでじゃ、今日の教えはな。心から疑問を払拭するがよい。

ヨーダはルークに呼吸法を教えた。自身の呼吸に心を向ける方法だ。それは、今自分がなにをしているのかに気付く方法なのだ。その訓練は、自分を今という時に留めてくれた。集中が養えた。

呼吸法の訓練で、ルークは、気配を感じるようになった。

ルーク: 何かおかしい。寒気と、死を感じます。
ヨーダ: そこはフォースのダークサイドが強いのじゃ。悪の領域じゃ。行くがよい。
ルーク: 何があるんですか?
ヨーダ: おまえ自身だけじゃ。
ヨーダ: 武器か。そいつは必要ないぞ。

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