ねえ、レンちゃんさっき最後おこってなかったぁ?お嫁に行くのに?

ほんと姫のわがままにもこまったものだ。一国の姫たるものには、国と国とを結びつける役割があるというのに

 

ねえ又兵衛さん、ホントはレンちゃんのこと好きなんじゃないの?

違う!断じて違う。

あっレンちゃん、聞いてたの?

ウワー

うそでござる。

貴様たばかったな!

顔真っ赤にして汗かいてるし。やっぱり。

まあまあ…誰が誰を好きになっても自由なんだから

それはお前たちの世界の話だ。この世界には身分というものがあって…

じゃ身分がなかったらどうするの?

あっ…うっ…う

レンちゃんに好きって言う?

くっ

やっぱり好きなんだね

俺は一介の家臣にすぎん…それなのに一国の姫にそのような大それた想いを…

言うてはならぬ!誰にも言うてはならぬぞ

はーい

では、武士の誓いをする。金打(きんちょう)じゃ。

脇差を貸そう。

よいか、刀を少しだけ抜いて…

カチャンと戻す。

そんだけ?

行為は簡単だが、重い誓いの作法なのだ。武士が金打し、その約束を破れば、死に値する。

うん、

金打!

カチャーン

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