終戦

 

収容所のはるか遠くでしていた爆音が、少し近づいた気がする。

連合軍に反撃にあい、ドイツ軍は次第に苦戦を強いられているようだった。

夜中鳴り響いた銃声の翌朝、収容所の門に白旗が掲げられていた。

勝負はあっという間についたのだった。

みな門の方へよろめいていった。

門から出て、最初の第一歩、長い間あれほど夢見た自由への第一歩を踏みしていた。

おずおずと周囲を見渡し、お互いの顔を見た。とまどっているのだ。

拳骨や足蹴りで身を屈める必要もないこの自由に。実感がわかない。まるで、違うで世界のようだった。

一度は、海岸までいってみるものの、夜になると結局収容所にもどってきた。

そして口ぐちにこういうのだ。

「ねえ。今日嬉しかった?」

「ああ、そのはずだ。でも喜ぶという感情が理解できないものになってしまっているようだ」

 

離人症のようだった。心が宙に浮いたような状態だ。

 

しかし、体の方は、正直だった。連合軍の炊き出しをどこまでも食べ続けた。何時間も何時間も食べ続けた。

そして、殴られないでもゆっくりと風呂にはいれたことに感謝し、温かい新しい毛布にくるまれて、床についた。

解放2日目、まず、門のところに目をやる。連合軍の青い旗が門にかかっていた。

ようやく解放を実感することができた。すると感情の爆発が襲ってきた。

いつまでも万歳をしていた・・・・

 

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