復讐:
今度はみんなが連合軍に、ここでなにがあったのかしゃべり始めた。とまらない。
そして、逆に捕虜となったドイツ兵を、リンチにしようとしていた。
原稿の切れ端をくれたドイツ兵だった。
「やめろ!全てのドイツ人が同じではない。その人は、自腹で私たちの薬を買っていた人だぞ!」
みなもそれを知っていて思いとどまった。
強制収容所をいう地獄を耐え抜いた彼らが、意外にも、こんなことで自らの脆弱性を暴露させてしまったのだ。
真の勇気が試されるのは、逆境の時ではなく、むしろ幸運の時なのかもしれない。
恵まれた環境において、どれだけ謙虚でいられるかが問われる。
この収容所では、ナチス隊員と私たちの間で思いやりをかわしたのである。
結局、人間同士を結び付けるのは、人種でも、民族でも、またイデオロギーでもなかった。