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ファルマーの最終定理 Fermat's last theorem |
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プラトテレス>さて、唐突だが、次の式をみてどう思うかな?
x2+y2=z2
ソフィー>えっ?別にどうってことない式じゃない?
プラトテレス>例えば?どんな数字を当てはめられる?
ソフィー>(1x1)+(2x2)=(3x・・・・これじゃだめ。
それじゃ(2x2)+(3x3)=(4x4)・・でもだめ・か・・
それじゃあ(3x3)+(4x4)=(5x5)
9+16=25
ほらできた、両辺が25でイコールが成り立つわ。
プラトテレス>正解。すばらしいよ。実はこの式はファルマーの最終定理といって数学界の最大の難関なんだ。
ソフィー>でも1つ2つできたぐらいじゃだめなんでしょ?どういう問いかけが解けないの?
プラトテレス>問題はこの式が成り立つのは2乗についてだけで、3乗、4乗・・・・・・についてはありえないことを証明できるかというものだ。
xn+yn=zn
ソフィー>フェルマー自身は証明しようとしたの?
プラトテレス>フェルマーは17世紀の数学者である数学の本を読んでいた時にその余白にこの式と共に、「2乗の場合を除けば不可能である。わたしは、その真にすばらしい証明を見出した。しかしこの余白では狭すぎる」と書いて、証明式は書き残さなかったんだ。
彼の死後この記述が発見されて、最初は誰もが気にも止めなかったのが、意外に難しいので、徐々に問いが広がっていったんだ。
19世紀の初頭には科学アカデミーが賞金をかけたり、コンクールを開いたり、そして1908年には10万マルクの賞金まで引き上げられた。いまでは1.5億円ぐらいに相当するね。数々の数学者がチャレンジしたけど、それでも誰も歯が立たなかったんだ。
ソフィー>
ゲーテルはチャレンジしなかったの?プラトテレス>彼らはもっと数の根元的な問題の研究をしていたからね。ゲーテルは逆にじゃまをした方にはいるだろうな。
ソフィー>じゃま?
プラトテレス>1930年頃になると全ての数学理論が使いつくされ、絶望しかけていた時に、ゲーテルの不完全性定理が発表され、相当な数学者がフェルマーの定理の証明を本当に諦めてしまったんだ。
ソフィー>コンピューターは?
プラトテレス>たしかにコンピュータは数学の計算力を飛躍的に高める。
実際、コンピューターによる計算をした数学者は山といる。そして、計算できる範囲では必ず真になった。しかし、数というのは、無限に存在する、コンピュータは無限に総当たり計算できないから、最終的には証明したことにはならない。
もっと別の手法が必要になるんだ
。ソフィー>数は無限にあるものね。
プラトテレス>次の進展は、1984年にドイツの数学者ゲルハルト・フライが「タニヤマ=シムラ予測」を解くことが、同時にフェルマーの定理を解く鍵になるだろうという主張に始まる。
「タニヤマ=シムラ予測」は、1954年に谷山と志村が研究していた、保型関数(モジュラー関数)のこと。彼らの共同研究は学会から、あまりに奇異だとされ、封印されていたものだ。
ソフィー>なんでそんな
プラトテレス>2つの数学の派を結びつける、ミッシングリンクにあたる予測だったからだ。当時の数学世界は2つにわれていて、一つにつながることをお互いに嫌っていたからね。
プラトテレス>フライの主張は1985年にケン・リベットによって正しいことが証明され、あとは、「タニヤマ=シムラ予測」を証明するだけになった。
ソフィー>さあ、山の頂上がみえてきた。もうゴールは間近!
プラトテレス>いやそうでもない。その頂上アタックルートが正しいだろうと分かっていても「タニヤマ=シムラ予測」の証明は嶮しい。
1987年からワイルズが他の研究を一切やめて1995年までかかってよってようやく解かれた。200ページにもわたる証明式だ。
ソフィー>回答は?
プラトテレス>フェルマーの定理は真であった。つまり2乗以外にこの方程式はありえないってことだ。350年ぶりに難問は解かれたのだ。
ソフィー>それほどの難問を立論したフェルマー自身は、本当に、当時証明できていたのかしら?
プラトテレス>本人は証明できるつもりだったらしいが、実際に証明できた可能性はない。
ソフィー>これほどの難問、誰もが賛美する業績。でも教えて!なにかの役に立つの?
プラトテレス>この定理は単なる数学的抽象言明であって、他の科学や技術には全くやくにたたない。数学はそうしたもので、ガウスが「フェルマーの定理のような、証明も反証もできないような式はいくらでも書き出せる。」と言ったように非生産的に走ればいくらでも走れるんだ。
ソフィー>「タニヤマ=シムラ予測」の呼び方が「タニヤマ=シムラ定理」に変わったのは、意義あったはずよね。
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