1967年

ホロン

Holon

アーサー・ケストラー

ハンガリー生まれの思想家アーサー・ケストラーの造語で、ギリシャ語で「全体」を意味するHOLOSに「部分」を意味するONをつけたもの。

70年代に還元主義による閉鎖的な社会を打開するコンセプトとして注目された。

ものごとを分解、部品化しその階層構造化を分析する「要素還元主義」にも、全体がひとまとまりであると主張する「ホーリズム」のどちらの思考に属さない独自の世界観を主張した。

 「純粋な部分」も「純粋な全体」も存在せず、全ては交じり合い、部分と全体を併せ持った「全体子」となっているという。

 原書は「ヤヌスの双面」と題されており、ホロンの概念を理解しやすく説明するために、ギリシャ神の2つの顔をもつ神になぞらえて題してある。

この概念を理解するには、まず3つの階層を思い浮かべていただきたい。

例えば、元素、組織、器官を例にとる。中間の層は下位層に対して目的となり、上位層に対して手段となる。すなわち、中間層は両義的な性質をもつ。

これを身体以外に適用できる言葉に置き換えると、中間層は下位層に対して自律的であり、上位層に対して従属的であるというように、両面性をもつことになる。これを「ヤヌス神の2つの顔」に例えたのである。

 ホロンの概念は原始論と全包括論とのあいだの失われた輪を補う、マルチスレッドに階層化されたものである。それによって「部分」と「全体」という二原論的思考法に取って代わろうとしたのである。

*ホロンの限界

1)機械論的世界観を認識する具体的手法になるのが還元手法である。

従来ホーリズムは単なる機械的世界観の対局を概念化したもので、それを認識する為の具体的手法はないとされてきたが、ではホロンはどうであろうか?やはり、具体的認識手法はなく、ここに限界が示されることになる。

2)次に、ホロンは要素還元主義を強く批判しながらも構造的視点にとらわれており、プロセス的視点に達していないことが分かる。

3)そしてホロンの視点の決定的欠点は次のような点である。

ソフィー>手段−目的-手段-目的の関係を最上階に登ったとき、最上階の上にはなにかあるの?

最上階の上には何もないのだから、「自己目的」の階層が必然となるではないか!この理論も自己矛盾している。

まとめ

世界観

証明する為の具体的手法

視点

機械的世界観

還元手法

静的

ホロン

?????

構造的

全包括的世界観

複雑系*1

プロセス

*1:最近ホーリズムと複雑系をリンクさせて論じているものがある。(はたしてなされるかな。)

関連→システム論史不治の病

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ホロン革命

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