パラメーター問題

 

超大統一理論が完成しても、物理には、まだ深淵な問題がのこされている。

パラメーターの問題だ。

宇宙は非常に微妙なバランスの上にようやく成り立っている。

光速、電気素量、プランク定数、ニュートンの重力定数など、自然法則のなかに「比例定数」が随所にあらわれる。

なぜ、比例定数でこの宇宙は設計されているのか?

この疑問には最新物理学も第1原理から答えを導くことには成功していない。これが答えられない限り物理学は袋小路に迷い込んだといわれてもしょうがない。

この問題にホーキングはお手上げの発言をしている。

 

ホーキング>この問題を解くにあたって、有効な説明の道具は、いまのところ人間原理しかみあたらない。

 

プラトテレス>ホーキングは、まだまともに取り組んでいないだけなのかもしれない。

ソフィー>誰かこの問題の専門家はいないの?

プラトテレス>スモーリンがこの問題をよく整理している。

 

スモーリン>宇宙で星をつくるには10の229乗まで正確にパラメーターを得られなければ成らない。

その値と宇宙全体の歴史と配置が結びついている、という仮説は脇におくべきなのだろうか?

素粒子物理は格段の進歩をとげたが、これらを説明する原理は出現していない。

たぶんその答えを宇宙論の求めるという考えは、それほど悪いものでもないだろう。

その理由を下記に整理して探ってみたい。

1)人間原理−@強い人間原理、弱い人間原理

       A多宇宙の人間原理―宇宙が10の229乗個あれば1つぐらい星のある宇宙もあるだろう。

2)宇宙全体に関する数学的に矛盾のない理論はたった一つしかないという仮説。

  しかし、数学的に10の229乗の中からたった1つのチャンスをものにするのは、人間原理より更に神秘的にならざるを得ないだろう。

3)上の2つより平凡だが、何らかの未知の物理的過程によって、パラメーターが時と共に変化するというもの。つまり現在のパラメーターは過去に実際に起こった過程の結果であるということ。これならば、神秘主義に依存する必要がない。この説を理論に高められば最善である。

 

下記に上記の理論への取り組み方について述べる。

 

科学において一般的に成功する二種類の説明がある。一つは一般原理、もう一つは歴史的説明だ。

そして一つの誤解がある。一般原理の方が歴史的説明よりもより基本的と考え勝ちな点だ。

例えば全ての電子は同じ質量を持つという事実を発見したとき、一般原理から探し始める。

しかし、この考えを宇宙全体に当てはめたときに、全てが一般原理な存在と断言できる証拠は無い。

 

ここまでの説明は、少々強引だが、追って詳細を申し上げる。

 

 

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187「宇宙は自ら進化した」 ダーウィンから量子重力理論へ リー・スモーリン The Life of the Cosmos Lee Smolin 1997年(訳:野本陽代 2000 年) NHK出版

154 宇宙における生命 S・W・ホーキング 1993 年 (訳: 佐藤勝彦 1993 年) NTT出版

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