5.羊
びっくりしていると、男の子は、また同じ質問をしてきた。
「ねえ羊の絵を書いてよ」
僕は、ちょうどもっていた例のウワバミのマスコットを渡してはぐらかそうとしたんだ。そしたら
「うわばみに飲み込まれた象なんて怖くていらないよ。羊がいいんだ」だって。
僕は、小さい時に絵描きになるのをあきらめたから、羊なんてうまく書けない。
しょうがないから、紙に箱を書いて、ポイってわたしてこう言った。
「君の欲しい羊は、この箱の中にはいっているよ」
すると男の子は、あたかも箱が本物のように覗き込んで、
「ありがとう、僕こんなの欲しかったんだ」
こんなふうにして僕と王子さまはであったんだ。