キツネ
王子さまがひとりで歩いていると、「こんにちは」っていう声がしたの。
「どこ?」
「こっちさ、草むらの影だよ。」
そこには、かわいい動物がいた。
「君はだれ?」
「僕はキツネさ」
「僕と遊ばない?」
「ダメだよ、まだペットじゃないから」とキツネが言うんだ。
「ペットって?」
「それはヒモをつくることさ」とキツネが不思議なことを言った。
「ヒモ?」
「そう、人と動物の心を結びつけるヒモさ。見えないヒモを作ることなのさ」
「ねえねえ、きみはなにを探しているの?」と今後はキツネが聞いたんだ。
「人間を探しているの」
「人間は鉄砲を持っていて、キツネを撃つよ。だけど、ニワトリも飼っている人もいるから、いいところもある。ねぇニワトリも探してる?」
「ううん、友達を探しているんだ」
「じゃ、俺をペットにすればいいさ」
「心と心を結び合わせるんだね」
「そうさ、今のところ、君はまだ、山ほどいる他の王子さまと同じ。でもヒモで結ばれると、お互いが特別な存在になるんだ」
こうして、王子さまとキツネは友達になったんだって。